院長室

« 3月 2020 4月 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 5月 »

漢方薬解説 -11 加味逍遙散

桂枝茯苓丸(25番)、当帰芍薬散(23番)、と来たらこの

処方を紹介せねばなりますまい。予想通り、の方も多いのでは

ないでしょうか。(^ ^)

 

・加味逍遙散(カミショウヨウサン 24番)

構成:柴胡3g+当帰3g+芍薬3g+茯苓3g+蒼朮3g

+甘草1.5g+生姜1g+薄荷1g+牡丹皮2g+山梔子2g

 

23、24、25番と連番になっていることもあり、これら

3薬は “婦人科漢方三銃士” の如く頻用されています。どれも

月経の不調や更年期の諸症状に使用され、24番は特に不眠や

イライラがある場合に使用されます。もちろんそれぞれ効果は

ありますが、問題はその選び方なんですね。体型や顔色などで

使い分けることが当然のように紹介されますが、それはむしろ

補助的な診断法です。またそれをやると併用の選択肢がなく

なるのでもったいないです。やはり構成生薬から考えることが

主でなければなりません。

 

では24番を解析してみましょう。生薬数は10種でこれまで

紹介してきた処方の中では比較的多いですね。しかし「加味」

とは「生薬を足す」という意味なので、加味逍遙散の本体は

「逍遙散」です。上記構成の最後の2つ、牡丹皮(ボタンピ)と

山梔子(サンシシ)が後から加味された生薬です。

 

つまり逍遙散という薬があって、何か物足りないから2つ足して

みたら適応する人が多くてヒット商品(笑)になった、という

ことです。では逍遙散とはどんな薬か。中心となるのは柴胡(サイコ)

+薄荷(ハッカ)です。この2つが「気を晴らす」という効果が

あるので、気分が落ち込んだり、胸苦しかったり、イライラ

したり、という症状に良いのです。

 

2〜4番目の当帰、芍薬、茯苓、蒼朮は当帰芍薬散(23番)

にも配合されていましたから、23番+気を晴らす(理気作用と

言います)のが逍遙散、という見方ができますね。

 

さて加味された山梔子は「冷やす」効果があります。牡丹皮は

桂枝茯苓丸(25番)にも配合された血を巡らせる生薬です。

この加味された効能こそが24番の意味ですから、そう、ほてり

の有無がこの薬を選択する上で重要、ということになります。

理気作用にばかり目が向いて「不定愁訴の漢方」なんて紹介

されることも多いですが、それは逍遙散のことであって24番に

特化したものではありません。

 

不定愁訴は“原因が特定できない非定型的症状” みたいに捉えられ

ますが、そもそもは「訴えが一定しないこと」なので原因不明

の難しい症状のことではありません。これも24番を誤用する

ことに繋がるので注意が必要です。

 

生薬数が増えれば効能が増え、組合せによる副次的な効果も付与

されるので一気に複雑になる気がしますが、考え方は全く変わり

ません。…って、解説長い?だってヒマなんですもの。(笑)

2020年4月16日 木曜日

カテゴリー 院長室

タグ

酸素を使うのは

前回、酸素がなきゃ始まらないぜー!というお話をしま

した。(簡潔すぎ ^ ^;)酸素が全ての活動のエネルギーに

必須だからです。では、そのエネルギー産生をしてくれ

てるのはどこなの?

 

答えはミトコンドリア。血液によって運ばれてきた酸素は

細胞に入り、さらにミトコンドリア内でエネルギー合成に

利用されます。この時にできる二酸化炭素を呼気で排出して

いるので、まさにミトコンドリアが最小単位の呼吸、とも

言えます。

 

このミトコンドリア内でのエネルギー産生機構は大変複雑

ですが同時に極めて巧妙でもあります。例えば肝臓のミト

コンドリアはエネルギー産生過程でできる二酸化炭素を

アンモニアという有害成分の分解に利用したりします。

賢いですね。

 

で、その複雑な機構が円滑に運行するために必要なのが

ビタミンB群なんです。ビタミンB群は8種類あり、全てが

ミトコンドリアの活動に関与します。互いに活性化し合う

ので、8種類全てを同時に摂るのが効率的です。

 

栄養療法においてビタミンB群のサプリメントは優先度が

高く、それこそ9割以上の方に飲んでもらっている印象

ですが、それはこういう理由があるからです。とにかくミト

コンドリアが効率的に働かなければ治るためのエネルギー

も確保できないわけです。

 

そう、結局ここに戻るのです。コロナ対策も行き着く先は

ミトコンドリアでのエネルギー産生で、ビタミンB群なん

ですねぇ。ちと極論ではありますが。当然ビタミンB群を

無駄に消費しない、という発想も必要です。それは糖過剰

にならないことでしたね。

 

栄養療法は難解なイメージがありますが、実はシンプルです。

シンプルだからこそ応用範囲が広いのです。

2020年4月13日 月曜日

カテゴリー 院長室

タグ

酸欠を防ごう

3密を避けること、免疫力向上に必要な栄養を摂ること、

そしてさらに重要なのが酸素欠乏に陥らないこと、です。

 

人間は酸素がなければ活動できません。呼吸し、酸素を

取り入れることでエネルギーを産生するからです。臓器に

よって需要に差はありますが、酸素欠乏があればせっかく

適切な栄養を摂取しても利用しにくくなります。

 

では酸素欠乏を招く原因とは何か。電車に例えると分かり

易いです。乗車する客が酸素で、電車が赤血球、線路が

血管です。電車=赤血球の問題としては溶血、ヘモグロビン

障害が挙げられます。溶血は赤血球が壊れやすいことで、

多くは血糖乱高下で起きます。ヘモグロビン障害は鉄と

ビタミンB群不足で起きることが多いです。

 

線路=血管の問題は全て血管の過剰収縮です。線路の本数

が少なくなるイメージです。この原因に冷え、アドレナリン

過剰が挙げられます。アドレナリン過剰は血糖乱高下で

起き得ますので、ここでも糖の摂り方が問題になりますね。

電車も線路も両方にトラブルを起こすのが血糖変動、と肝

に銘じて欲しいです。酸素欠乏に特に弱いのが脳ですので、

冷えがある場合は喫緊の対策として後頚部をよく温める

のが効果的です。

 

学校再開が延期になり、子供たちが家でお菓子やジュース

ばかり食べていれば溶血と血管収縮が起き酸欠になりますし、

それを生理のある女性がやれば鉄不足も加わってさらに

悪化します。子供たちを叱ってばかりでアドレナリンが

上昇すれば血流悪化に拍車をかけます。あ、家庭のお母さん

が一番危ないかも?!(^ ^;)最も負担がかかるお母さん

こそ、食べる順に留意して、身体を温め、時に手抜きして

リラックスして欲しいです。

2020年4月9日 木曜日

カテゴリー 院長室

タグ

漢方薬解説-10 当帰芍薬散

漢方薬解説も10回目となりました。今回は第7回で紹介した

桂枝茯苓丸(25番)と対比されることの多い当帰芍薬散です。

これもまた婦人科疾患専用の漢方薬のように宣伝されますが…。

 

・当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン 23番)

構成:当帰3g+芍薬4g+川芎3g+蒼朮4g+沢瀉4g+茯苓4g

 

一般的に知られる効果効能は25番と同じく、生理の不調や

更年期にまつわる諸症状に対してです。ではどう使い分けるかと

いうと、25番ががっちり体型イライラタイプで23番は

やせ型で冷え乾燥タイプ、だそうです。漢方を学びはじめの頃は

僕もそう教わりました。でもこういう使い分けはやめた方が

いいです。

 

生薬構成から見ると6つの生薬のうち前半の3つは補血薬で

後半の3つは利水薬です。つまり貧血傾向でむくみやすい方に

適応があるということです。25番は “気を降ろし” て “血の

滞りを解除する” という構成でした。これらの症状は併存し

得ます。上述のような使い分けだと「23番 or 25番、さあ

どっち!?」(笑)みたいなことになりがちですが、全ての

症状を有していれば併用した方がいいわけです。

 

確かにどれも女性に多く出現する症状ではありますが、だから

と言って女性専用薬ではないですし、ましてや23番と25番

を相対させる意味はあまりありません。実際に脳出血では脳が

虚血になりむくみます。この程度によって後遺症にも差が出ます

から、初期治療に23番+25番というのは大いにアリです。

 

当帰(トウキ)と川芎(センキュウ)は共に血を巡らせて下腹部痛を

取るという効能のためよくセットで用いられます。この23番

もそうですが、代表となる漢方薬が四物湯です。

 

・四物湯(シモツトウ 71番)

構成:当帰3g+芍薬3g+川芎3g+地黄3g

 

23番の前半3つに地黄(ジオウ)を加えた構成です。地黄も

補血作用があるので、71番は補血薬だけで構成されることに

なります。皮膚の乾燥や四肢の冷えなども血の巡りの悪さと

捉えるので、71番は様々な漢方薬に配合されています。ただ

地黄は胃部不快も出やすいので投与は少し慎重になるべきです。

23番は71番から地黄を抜いて利水薬と合体させている、

と解釈することもでき、使いやすくするために先人が工夫した

のかな、と思いを馳せたりもします。

2020年4月6日 月曜日

カテゴリー 院長室

タグ

腰痛と立ち仕事

立ち仕事で腰痛に悩んでいる方は、割と多いようです。

ハイヒールを履く女性の方ですと、余計負担がかかりますね。

 

東洋医学的には、立ち仕事と腰痛には関係があるんです。

古代中国では、労働の種類を5つに分類しました。

久行(きゅうこう)、久視(きゅうし)、久座(きゅうざ)、久臥(きゅうが)、久立(きゅうりつ)

の5つで、五労(ごろう)といいます。

 

その一つ、「久立」

が立ち仕事のことです。

五労は、「肝・心・脾・肺・腎」の五臓とそれぞれ対応しており、

久行は肝、

久視は心、

久座は脾、

久臥は肺、

久立は腎、

と深い関係にあります。

 

各内臓には関連する身体の部位があり、

腎は

腰、骨、歯、髪の毛、膀胱

などと深い関係があります。

そのため、長時間の立ち仕事によって腎に負担をかければ、

腎と関係する腰にも問題が出てくると考えられます。

 

骨とも関係していますので、

腰椎椎間板ヘルニアや腰椎すべり症なども関係してくるでしょう。

膀胱と関係するのは、現代医学とも共通しますね。

 

古代中国では、内臓とつながっている経絡(けいらく)が、

身体の中を流れていると考えました。

経絡とは、エネルギーや栄養が流れる道路だと思ってください。

背中・腰・おしり~もも・ふくらはぎの後ろ側

には膀胱の経絡が通っています。

 

そのため、ハイヒールをはいて常にふくらはぎが緊張した状態ですと、

ここを通る経絡を通して腰にも影響します。

また、腎は身体の水の源となる臓です。

そのため、腎に負担がかかると身体の水はけが悪くなり、むくみとなって現れます。

 

ただし実際には、身体への影響はこのように単純ではなく複合的なものです。

・食事の内容

・睡眠

・精神的なストレス

などもお聞きしながら、多面的な視野でお身体の状況を把握していきます。

2020年4月4日 土曜日

カテゴリー はりの部屋

タグ