栄養療法の考え方を端的に言えば「過剰は減らし、不足は補給する」
と言うことになります。なぜ過剰なのか、なぜ不足なのかがさらに
重要なのですが、まずは自身の過不足状態を知ることが第一と言える
でしょう。
過剰で一番多いのはやはり糖質です。糖質過剰は漠然と糖尿病のリスク
と知られてはいますが、実際には疲労感、めまい、不眠、冷え、動悸、
骨粗鬆症など多岐に亘ります。逆に言えば糖過剰を減らすだけで色々な
症状の改善が期待できると言うことでもあります。
糖過剰なら糖を減らせば良い、と考えがちですがこれは治療をミスる
原因にもなります。なぜなら糖過剰でなくても血糖上昇や低血糖を
招くことがあるからです。意外なところではビタミンB群の不足。
ビタミンB群はALTという酵素を活性化するために必須ですが、ALT
は血糖を維持するために利用されるのです。
ですからビタミンB群不足の方は血糖維持がうまく行かず、上記の
ような症状がつきまとうのです。ビタミンB群は他にも脳ホルモンの
合成やタンパク質の合成にも必須なので、我々がビタミンB群不足を
嫌う理由が分かると思います。
そして意外に多いのが脂肪肝です。肝臓は食事で摂った糖質を一時
貯蔵する機能がありますが、脂肪肝になるとこの機能が低下します。
すると食後貯蔵できないために大した量の糖質量でなくても血糖値が
急上昇します。するとそれを補正しようとしてインスリンが過剰分泌
するので、また上記の症状が出やすくなりますし、脂肪肝も悪化
し悪循環にはまります。これはインスリンが脂肪合成能を持つから
です。
かように、糖過剰の方は口が卑しいわけではなく(そういう人も
いるけど 笑)他の栄養素が絡んでいる場合もしばしばあるのです。
ただただ糖質量だけ制限する治療は避けるべきと理解して頂けるかと
思います。