当院の鍼施術は接触鍼(せっしょくしん)といって、鍼を刺しません。
刺さなくても効くの?という質問をいただくので、それについて。
東洋医学では、身体の中を経絡(けいらく)が通っていると考えます。
経絡とは氣血(きけつ、エネルギーや栄養と考えてください)が流れる通り道で、心臓や肝臓など各内臓とつながっています。太い道が経脈(けいみゃく)、そこから枝分かれした道を絡脈(らくみゃく)といい、両者をあわせて経絡と呼びます。
絡脈からさらに孫脈(そんみゃく)という細い道が枝分かれして…、と枝分かれを繰り返しながら皮ふとつながります。
この皮ふとつながったところが、いわゆるツボです。
接触鍼は、ツボに鍼を触れさせます。その刺激がツボ→孫脈→絡脈→経脈と伝わっていき、最終的に各内臓まで届いていきます。
東洋医学では、腰痛や膝痛などさまざまな不調の原因は、「内臓の働きやバランスの問題」と捉えますので、接触した鍼の刺激が内臓に伝わることで、働きやバランスを整えていき、その結果さまざまな症状が変化していくのです。
筋肉や神経に対してアプローチしているわけではないので、強い刺激を加える必要はないんですね。
例えば、腰痛の場合。
腰や背中には「膀胱」の経絡が流れています。そして、膀胱は腎と深い関係があります。
そのため、腰痛に対する鍼では、膀胱や腎のツボを選んで施術することが多いです。腎は、身体の水と関係が深いため、おしっこの問題やむくみ、なども同時に対応することができます。
このように、腰痛だからといって、腰だけでなく他の問題もトータルに対応できるのが、鍼灸の魅力の一つですね。