5月に入り、急に右うでにピリピリと痛みが出たと訴える女性がいらっしゃいました。
痛みは肩甲骨から薬指や小指まで。
この症状を東洋医学的に考えてみます。
東洋医学では、症状の根本原因を「内臓の働きやバランスの問題」と捉えます。
「五臓六腑に沁みわたる」の五臓六腑が内臓で、とくに五臓-肝・心・脾・肺・腎が重要と考えています。
そして、各内臓にはそれぞれ関係する経絡(けいらく)があり、その中を氣血が流れています。
経絡は身体の中を流れる道路で、氣血は栄養やエネルギーと考えてください。経絡を通して「栄養やエネルギー」を運ぶことで、内臓や身体はきちんと働きます。
内臓に何らかの問題があると、関係する経絡の通り道に反応が現れることがあります。
この方の症状である、肩甲骨やうで、小指、は「小腸」の経絡が流れていますので、小腸の問題が反応としてうでに現れた、と考えることができます。
小腸は、五臓の心(しん)と深い関係にあります。
心は、ストレスによる影響を受けやすい臓で、負担がかかると熱をもつ性質があります。心の経絡は、腋、うで、手のひら、小指を通ります。
緊張すると腋や手のひらに汗をかきますよね?
これは精神的なストレスが心(しん)に影響し熱をもったので、その経絡上に汗をかき、熱を冷まそうとしたんですね。
この方は自営業で、コロナウイルスの影響で業務内容の変更や対応に追われ、かなりストレスを感じていたようです。
その影響が、心(しん)と関係の深い小腸の経絡上に現れたと考えられます。
ストレスで身体は熱をもった状態ですので、冷ましてあげないといけません。
その役割をする内臓が「腎」です。
そのため、小腸と関係するツボに鍼をして熱をさばき、腎の働きをしっかりさせて熱を落ち着かせます。
このように、うでが痛いからうでだけをみる、のではなく、身体のバランスを考慮して内臓に働きかけるので、他の症状も変化していく可能性があります。これが東洋医学の大きな特徴ですね。