俳優の大杉漣さんが急逝されてにわかに注目されている
心不全ですが、そもそも心不全は「心臓が機能していない」
という意味で病名ではありません。
なぜ機能していないのかによって当然経過も治療も異なる
わけですが、大きく急性と慢性があります。例えば
心筋梗塞や急性大動脈解離は突発的に症状が出て、急激
に悪化し死に至ることもあります。逆に弁膜症や呼吸器
疾患などでは徐々に心臓機能が悪化していきます。
慢性心不全の場合、すぐに死に至らないとは言え日常生活
には大きな影響を与えます。呼吸が苦しい、動悸がして疲れ
やすい、むくみで重い…etc.それぞれ対症的な薬はありますが、
根本的に改善させるのはかなり難しいです。心臓はミトコン
ドリアが豊富な臓器なので、栄養療法ではビタミンB群や
コエンザイムQ10などを使用します。タンパク摂取をしつつ
ふくらはぎの筋肉を鍛えるためのつま先立ち運動も有効ですね。
では急性の場合はどうでしょう。急激に進行するため手を
打つ間もないことがあるので、むしろこちらの方が予防に
重点を置くべきだと思います。心臓は全身に血液を送り出す
ポンプですが、心臓そのものを養う血液も必要です。その
血管を冠動脈というのですが、この血管が詰まって心臓の
筋肉が壊死することを心筋梗塞、詰まりはないけど血流が
悪化した状態を狭心症と言います。
となればこの血管、血流を維持する、悪化させないことこそ
が予防になります。そしてそれはコレステロール値を下げる
ことではありません。血糖値の乱高下を招かないことです。
大杉さんがそうだったと言うわけではないですが、こういう
悲しい事例を予め防ぐ努力はしないといけません。