医療関係者の常識と一般の方の常識は意外とズレている
ことがあり、それが元でトラブルになったりもします。
この「骨盤のズレ」もまさに認識のズレの一つです。
病院よりもむしろ、接骨院などで言われることの多い
「骨盤のズレ」。腰痛や下肢のしびれの原因として言わ
れることがしばしばで、患者さんも「骨盤がズレている
から仕方ない」と思い込んでいる場合があります。
実は実際にレントゲンやMRIなどをしても骨盤のズレを
見つけることはできません。つまり、形態的に変形して
いるのではなく、左右前後の動きの差、あるいは施術者
の手の感覚からこのように表現しているに過ぎません。
画像検査が万能でないことはこれまでも何度か取り上げて
きましたが、一方で数値化できない異常を表現する
難しさ、もあります。
「ズレている」と言われれば、患者さんは驚きますし、
さらには治癒を諦めさせてしまう恐れもありますから、
安易に用いるべき用語ではないでしょうね。ちなみに
類義語として「ゆがみ」があります。なるべく一般の
認識とズレないように表現する努力が我々には必要
ですね。
あ、「腰椎すべり症」なんてのは本当に骨がズレている
疾患ですが、これは徒手的に治療するのは難しいですし、
そもそもすべり症と症状に因果関係がない場合もあります
ので、これもまた大仰に考えない方がいいでしょう。