糖質制限食と同時に勧められるのが高タンパク食です。栄養療法
では糖質制限を指導する場合が多いので併せて高タンパクの指導
も行うことになります。
高タンパクということは、肉・魚・卵・大豆を多めに食べようぜ、
ってことですが、糖質制限同様、これにも様々な意見があります。
高タンパクでは体内が酸性に傾くとか、日本人の腸は高タンパクに
向いていないとか、単一タンパク摂取はアレルギーの原因になる
とか、4本足の動物は食べてはいけない(?)とか…。
これらをして栄養療法を否定する向きもあるのですが、我々が
行っている栄養療法はあくまで「過不足を分析して新陳代謝を
意図的に左右する」治療方法です。糖質制限を勧めるのは糖質過剰
という分析結果が出るからですし、高タンパクを勧めるのも
低タンパクという分析結果が出るからです。決して糖が嫌いで
タンパクが好きだから、ではありません。(^ ^;)
こう書くと当たり前のように聞こえるかも知れませんが、意外と
「分析」は度外視されているのが現状です。テレビで○○が健康
に良いと言われれば早速買いに行ったりしませんか?それは
本当に自分に足りていないのか?という分析をしないで実行
しちゃってるってことですよね。
食事には地域性や民族性、習慣や嗜好など数多くのファクターが
関与します。正直何が正解かは分かりません。けれども、体を形成
するのは食事だけですから病態の治癒に大きく関与するのも事実
です。であれば、なるべく客観的な情報を集めて確からしいものを
採用する、という方法論が一番安全だと思うのです。その結果が
糖質制限であったり高タンパクであったりすれば、あまり議論の
余地はないと思うんですけどね。
こういう根拠が薄いまま行われる食事指導は、糖質制限「教」で
あり高タンパク「教」となり、治療ではなく思想になってしまい
ます。医療者側も患者側も気を付けねばなりません。