だんだんと寒くなってきましたね。順調に(?)風邪の方も増えて
います。気温低下によって肺の線毛運動が低下しウィルスや菌を
排出しにくくなるので感染症のリスクが増えるわけですが、もともと
冷えがある方はさらにこのリスクが上昇します。
だからこぞって保温グッズや温める漢方薬を使っていくのですが、
気を付けねばならないのは、「冷える」というのは自覚症状だ
ということです。それはつまり実際には冷えていなくても冷えを
感じることもある、ということ。えー、そんなんある?と思うかも
知れませんが、しばしば遭遇する症状です。
これは相対的冷えと言って、ほてりがある場合にほてりのない
場所を冷えると感じてしまうことです。例えば、更年期などで
顔はほてるが手足は冷たく感じる、というパターンは意外と多い
ですね。こういう時に、そうか冷えるのか、では温めましょう!
とやるとほてりが却って悪化して不調になることがあるのです。
冷えが自覚的なのか他覚的なのかは治療方針が全く違うことがある
ので要注意なんです。
ちなみにこういう相対的冷えの場合は治すべきはほてりであったり、
体温調節障害であるので漢方的には柴胡(サイコ)という生薬が選択され
ます。加味逍遙散(カミショウヨウサン)という漢方薬が更年期によく使用
されていますが、この薬には柴胡が入っていてさらに冷やす生薬も
追加されているので、「冷えのぼせでほてり傾向」のある場合に
適応となります。更年期にはこういう症状が多い、というだけで
決して更年期障害を治す薬ではありません。
さて、こういう変わった(?)冷えでなければ、もちろんどんどん
温めるべきです。手足が冷える場合でも身体の中心から温める方が
効率的ですので、首、腹、腰、を重点的に温めてみてください。