はりの部屋

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良いとこ探し

今回は、意識の向け方についてです。

 

施術をしていて、良くなっていく方とあまり変化がない方といらっしゃいます。

その要因の一つに、「ものごとの捉え方」があります。

 

例えば、施術を続ける中で、腰痛はラクになったけど便秘が良くならない…など、変化する症状となかなか取れない症状が出てくることがあります。

その時に、

「腰痛がラクになった」

「まだ便秘が良くならない」

どちらにフォーカスするかで、身体への影響も変わってくるんです。

 

「腰痛がラクになった」方にフォーカスすると、

「私の身体は変わってきている。」

「これからも良くなっていくかも。」

「良くなる力があるんだ。」

とポジティブに自分の身体を捉えることができます。

そうすると、身体もポジティブな方向へ向かっていくんですね。その結果、いろんな症状も改善していきます。

 

一方、

「まだ便秘が良くならない」方にフォーカスすると、

「身体は全然変わっていかない。」

「もう良くならないんじゃないか。」

「何をやってもダメだ。」

とネガティブに捉えるようになり、身体もネガティブな方向へ向かってしまいます。

結果、症状が改善しないだけでなく、他の不調を招くことにもなりかねません。

 

心理療法に、認知療法というものがあります。

これは、物事を捉える枠組みのゆがみが不調を招く、とした理論です。

例えば、

「男性はこうあるべきだ。」

「○○しなければならない。」

「自分は世間から嫌われている。」

といった硬直した考え方や、不合理な考え方などですね。

 

もちろん、これは一例であって、すべてではありません。

が、意識の向け方や捉え方で良い方向に向かうことができるのであれば、やってみる価値はありますね。

「以前と比べて、どこが良くなっているか。」

を探してみましょう。

2020年6月6日 土曜日

カテゴリー はりの部屋

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なぜ腹診をしないか

漢方薬の解説なんぞをシリーズでやっておりますが、処方を

決定するのには診断が必要です。西洋医学で言えば、例えば

血液検査や画像検査を基に診断が下され、必要に応じて薬が

処方されます。漢方医学でも同様に何かを頼りに診断が行われ

漢方薬が処方されるという流れです。

 

漢方医学興隆の時代には現在当たり前に行われている検査は

存在しませんから、独自の診断方法がありました。それが

舌診、脈診、腹診という方法です。舌診は舌を見ること、

脈診は脈に触れること、腹診は腹に触れることです。

 

たまに患者さんから「腹診はしないのですか?」と聞かれます。

「腹診もしないで処方が決められるんかい」という非難めいた

意図があったりもしますが(^ ^;)、別に触れたくないわけ

ではなく理由があってあまりやっていません。

 

もちろん上記3つの診察と問診を組み合わせて診断していく

ことは重要ではありますが、実は診断法には優先度があります。

漢方医学の診断方法は「望・聞・問・切」の4つに分けられ、

望は視覚で、聞は聴覚味覚で、問は質問し、切は触覚で診断

していく、ということです。そしてこれらの診断で仮に所見

が分かれた場合は「望>聞>問>切」の順で優先させる、と

決められているのです。

 

上記3つの診察を当て嵌めてみると、舌診は見ることです

から「望」、脈診と腹診は触れることですから「切」になり

ます。つまり舌診の所見の方が脈診や腹診よりも優先される、

ということになりますね。なので、余程のことがない限り

僕は舌診を優先しているんです。決して、て、手を抜いて

いるわけでじゃないのよ?!なぜオネェ言葉?!(笑)

 

腹診をするのは、ある程度処方が決まっていて2択で迷った

時とか、そもそも他の理由で腹診をする場合についでに、

なんてのが実際です。

2020年6月4日 木曜日

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漢方薬解説-15 柴胡桂枝湯

前回、「冷やす」効果がある柴胡と「温める」効果のある桂皮

は逆の作用である、と書きました。鋭い方は疑問に思ったかも

知れません。12番にも桂皮は配合されていますからね。ここ

は漢方薬を理解する上で混乱する部分になり得ますが、逆の作用

だから併用しない、わけではないんですね。と言うのも生薬の

効能は一つではないから。別の効能を利用したくて配合している

ことは多々あります。今回紹介する漢方薬も柴胡と桂皮が併用

されている処方になります。

 

・柴胡桂枝湯(サイコケイシトウ 10番)

構成:柴胡5g+黄芩2g+半夏4g+人参2g

大棗2g+甘草2g+生姜1g+桂皮2g+芍薬2g

 

小柴胡湯(9番)に桂皮と芍薬を追加した処方です。何か目的が

あって追加した、と言うよりこの処方の下段は桂枝湯(45番)

なので、9番と45番を合体させた、と見る方がよいです。

どちらも風邪の時に使用される処方で、悪寒、発熱などの初期

に45番、解熱傾向だが悪心や咳が残る時に9番、と経過の中

で使い分けられてきました。10番は両方を配合しているので

その中間の時期、と考えれば良いわけです。

 

もちろん柴胡には「緊張緩和」作用がありますから、風邪とは

関係なく桂皮で「気を降ろし」芍薬で「筋をほぐす」と解釈

してイライラがあって筋がこわばる場合に使ってもOKです。

 

さて、重要柴胡剤がもう一つあります。見てみましょう。

 

・柴胡桂枝乾姜湯(サイコケイシカンキョウトウ 11番)

構成:柴胡6g+黄芩3g+栝楼根3g+牡蛎3g

+桂皮3g+甘草2g+乾姜2g

 

名称からは10番に乾姜(カンキョウ)を追加した薬?と思いがち

ですが、もう9番ともかけ離れた構成になっています。(^ ^;)

柴胡+黄芩を核としているのは不変で、そこに12番にも配合

されていた牡蛎(ボレイ)と桂皮があるので「理気剤」として

運用することを目指しているのが分かります。事実、この処方

はイライラや不眠、音や臭い、光への過敏状態などによく使用

されます。

 

では栝楼根(カロコン)と乾姜の配合目的は何でしょう?栝楼根は

「潤す」作用があり乾姜は「温める」作用があります。つまり

これは柴胡の副作用対策なんですね。柴胡は緊張を緩和し炎症

を抑える効果があり重宝しますが、反面身体を冷やしたり乾かし

たりしてしまうので運用にコツがいるのでした。その負の側面

を他の生薬で相殺しているわけです。乾燥や冷えを訴える場合

には一石二鳥ですね。配合の妙に感心します。

 

3回にわたり柴胡剤を紹介してきましたが、小柴胡湯(9番)

を中心に8番と12番はその効果や範囲を拡げる処方、今回

紹介した10番と11番は柴胡の弱点を補う処方、と捉えると

整理しやすいと思います。柴胡剤が理解できるようになることは、

漢方薬を生薬で考えられている、と言えますし、逆に生薬を

考慮しないと柴胡剤は理解しにくい、と言えます。

2020年6月1日 月曜日

カテゴリー 院長室

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