漢方薬の解説なんぞをシリーズでやっておりますが、処方を
決定するのには診断が必要です。西洋医学で言えば、例えば
血液検査や画像検査を基に診断が下され、必要に応じて薬が
処方されます。漢方医学でも同様に何かを頼りに診断が行われ
漢方薬が処方されるという流れです。
漢方医学興隆の時代には現在当たり前に行われている検査は
存在しませんから、独自の診断方法がありました。それが
舌診、脈診、腹診という方法です。舌診は舌を見ること、
脈診は脈に触れること、腹診は腹に触れることです。
たまに患者さんから「腹診はしないのですか?」と聞かれます。
「腹診もしないで処方が決められるんかい」という非難めいた
意図があったりもしますが(^ ^;)、別に触れたくないわけ
ではなく理由があってあまりやっていません。
もちろん上記3つの診察と問診を組み合わせて診断していく
ことは重要ではありますが、実は診断法には優先度があります。
漢方医学の診断方法は「望・聞・問・切」の4つに分けられ、
望は視覚で、聞は聴覚味覚で、問は質問し、切は触覚で診断
していく、ということです。そしてこれらの診断で仮に所見
が分かれた場合は「望>聞>問>切」の順で優先させる、と
決められているのです。
上記3つの診察を当て嵌めてみると、舌診は見ることです
から「望」、脈診と腹診は触れることですから「切」になり
ます。つまり舌診の所見の方が脈診や腹診よりも優先される、
ということになりますね。なので、余程のことがない限り
僕は舌診を優先しているんです。決して、て、手を抜いて
いるわけでじゃないのよ?!なぜオネェ言葉?!(笑)
腹診をするのは、ある程度処方が決まっていて2択で迷った
時とか、そもそも他の理由で腹診をする場合についでに、
なんてのが実際です。