栄養療法ではタンパク摂取を励行することが多く、糖質制限と併せて
よく耳にすると思います。もちろんこれはタンパク不足の人が多いから
であって、闇雲に増やせば良いというものではないのも糖質制限と
同様です。
タンパク質は我々の身体の構成要素です。皮膚も髪も筋肉も酵素も
ホルモンもタンパク質から作られます。年中工事している橋とか道路は
迷惑しますが、我々の身体の中はまさにそんな感じで毎日せっせと
工事が行われています。これが新陳代謝ですね。
ではどのくらいの量を摂ればいいか、とよく質問されます。一般には
体重1kgあたり50〜60gのタンパク質が必要とされており、その
計算だと手のひらサイズの大きさの肉を毎日摂った方が良い、と指導
されたりします。
これに異論はありませんが、忘れてならないのは「タンパク質はそのまま
では吸収されない」ということです。口から腸に至る過程でバラバラに
され、それが腸を通過して肝臓で再合成されます。我々が検査で過不足を
評価しているのはこの肝臓で再合成された後のものです。ということは、
単純に摂取量だけではなく、消化管や肝臓の状態も加味せねばならない、
ということになりますね。
例えば、唾液や胃酸や消化酵素が不足していればそもそも分解できない
ですし、ビタミンB群が不足していれば再合成がままなりません。そう
いう状態で摂取量だけ増やしても、効果がないどころか腸内細菌の
エサになって腸内環境が乱れることもしばしばあります。少なくとも
タンパク摂取量を増やして腹が張ったり便臭が強くなったりしたら
要注意。むしろ減らすべきです。
タンパク質が増えると体調が良くなるのは確かではありますが、その
道のりは結構険しい。(^ ^;)少しずつ、しっかり評価もしながら
やるのが王道です。