整形外科疾患で椎間板ヘルニアと同じくらい日常会話で登場し、
かつ誤解が多いのが腱鞘炎です。腕が痛い?仕事で酷使するから
腱鞘炎になったんやわ!とか言いません?
さてどこに誤解があるかというと、腱鞘炎はどんな部位にも起きる
ものと思われている節がある点です。その名の通り腱鞘炎とは
「腱鞘」の炎症で、腱鞘とは腱を押さえる、あるいはスムーズに
動かすための装置です。当然腱がある場所にしか存在しません。
例えば前腕の中央あたりに痛みがあっても、そこに腱鞘はないので
腱鞘炎ではありません。手の使いすぎで肘が痛い場合も、腱の
付着部炎であって腱鞘炎ではありません。有名な“バネ指”は指を
曲げる腱の腱鞘の炎症なので腱鞘炎です。ああややこしい。(笑)
なぜこんな面倒な話をするかというと、腱鞘は使い過ぎだけでなく
女性ホルモンの影響を受けやすいことが分かっているので栄養療法
の対象であるからです。先述のバネ指が周産期や更年期の女性に
多いのはこのせいです。
もちろん原因はこれだけではないですが、腱鞘炎→ステロイド注射
という通常の治療の繰り返しでは根治にならないどころか副作用も
出かねないので、ステロイド以外の治療があるならその方が安全
です。具体的にはカルシウム過剰マグネシウム不足というミネラル
のアンバランスが根底にあると思われます。
特に周産期の方は薬剤が使いにくいので、つい痛みを我慢してしまう
傾向がありますが、もしかしたら食事の仕方で変化が出るかも知れ
ませんよ。