「ようけつ」と読みます。聞き慣れない言葉だと思いますが、
我々、特に栄養療法を実践する医師にとっては極めて重要な
単語です。
医療用語なので聞き慣れないのは当然なんですが、これは血液
の中の赤血球の変化の一つです。赤血球は酸素を身体中に運ぶ
トラックのような役目があって、酸素がないと生きていけない
我々にとっては超重要なものです。
その赤血球は約120日で入れ替わるのですが、何らかの理由で
その入れ替わりが早まってしまう、つまり赤血球が壊れやすく
なっている状態を溶血と言うのです。
溶血があると、赤血球機能が低下しますから身体中が酸素不足に
なりやすくなります。全ての細胞は酸素が必要ですから、溶血が
ある場合、あらゆる病態が治りにくいことになりますね。痛みも
疲れも、不眠も、うつも、難治と言われている病態の裏側には
溶血があるかも知れないのです。
じゃあどうやって溶血を知るのか。これは血液検査から知る
ことができるのですが、意外と難しい。溶血があるということは
赤血球が壊れやすいわけで、つまり血液中に赤血球の内容物が
多く出ている事になり、これが色々な検査値を上昇させてしまう
ので正しく判読しづらくなるのです。
栄養療法では血液検査を重要視するので、その判断を狂わし
かねない溶血の有無は常に頭に置きながらデータを見ています。
人間ドックや健診レベルでは分からない場合が多いので、もし
それらが「A判定」であっても不調があるのであれば、一度
相談して頂きたいと思います。