腰が痛いのに「冷え症はある?」とか「口は渇かない?」などと
一見無関係なことを質問するのが漢方診療の特徴でもありますが、
もちろん意味はあります。
漢方薬は症状を改善するために様々な生薬が組み合わさっていますが
その生薬には効能以外にも特有の性質があって、それゆえ一つの生薬
でも効能が複数に及ぶことがあります。これを薬性と言います。
ヘンな(?)質問をするのは、この薬性を患者さんに合わせるよう
に処方を決めたいからでもあるのです。
例えば冷えると腰が痛む人に、冷やす薬性を持つ生薬を使ったら
悪化するかも知れませんし、乾燥すると咳が出る人に乾かす生薬
なんて危なくて使えません。決してノリで質問しているわけでは
ないのです。(笑)
ただこの薬性は大抵は寒−熱や燥−湿など対をなす対義語です。留意
しなければいけないのは、これは相対的なものだということです。
ここに落とし穴があったりします。患者さんは「冷える」という
けど、手足を触ると逆に暖かかったり、口が渇くという訴えでも
唾液は多かったり。つまり自覚的症状と他覚的所見が乖離する
場合があるんですね。
そうなる理由も必ずあるはずなので、さらに関係なさそうな(^ ^;)
質問が増えたりするわけですが、ここにも効果効能だけを切り取って
処方すると間違う原因があります。日々気を付けているところです。
ちなみに、高−低も相対的なものです。相手を “上から目線だ” と
感じたら、自分が卑屈になっていないか?と考えるのも必要かも
知れないですね。