よく漢方薬は「体質改善ができる」と言われます。実際それを
求めて来院される患者さんも多いです。この場合に対象となる
症状は例えば花粉症やアトピーなどのアレルギー疾患、冷えや
便秘や易疲労感といった病気とは捉えられない愁訴、生理に
まつわる諸症状、などです。
確かにこれらの症状は西洋医学的なアプローチよりも漢方医学的な
アプローチの方が効果的であることが多いです。で、効果があると
体質が変わったんですよ、なんて軽々しく言ってしまうわけですが
本当に変わったかどうかは薬を中止してみないと分かりません。
薬を飲まなくなったらまた同様の症状が出てしまった、では体質は
変わったことにはなりませんよね。
漢方薬で体質が改善する例は確かにあるのですが、本当の意味で
体質を変えるのはその名の通り、体を造り替えるのが最も確実
だと思うのです。人間はその材料を口からしか摂れないわけです
から、体の改造=体質改善はすなわち食事を変えることになるわけ
です。
オーソモレキュラー療法の祖、A.ホッファー先生は診察の時、患者
さんの訴えを一通り聞いたのち、おもむろに
「ところであなたはこれまで何を食べてきたんですか?」
と必ず聞いたそうです。素敵ですね。現在の姿はすべからくこれまで
の食生活の結果である、というわけです。非常にシンプルで説得力が
あると思います。
体質改善を要するような病態が多い現代では、まさに食生活の改善
こそが治療の近道になるような気がしています。