癌の性質を知れば闘いも有利に進む。DNA複製のミスプリント
によって癌が発生することは理解頂けたと思いますが、では、
不幸にも癌が発生してしまったら打つ手は無いのかと言ったら
そんなことはありません。癌が大きくなるのにもちゃんとルール
があるからです。
癌は基本的にゆっくり大きくなります。約1cmの大きさになる
のにも10〜15年かかると言われています。早期癌が喜ばれる
と書きましたが、現状の医療技術では1mmの癌は発見できません。
つまり我々が画像検査で見つけることができるよりも、はるか
前に癌は発生しているのですね。
では癌はどうやって大きくなるか。キーワードは「糖」です。
癌細胞は正常細胞よりも5倍以上の糖を必要とします。超甘党
なんです。(笑)その糖をエネルギーとしてタンパク質を材料に
どんどん大きくなります。ただここでも特殊な性質があって、
癌細胞は人間が食べた食事中のタンパク質は利用できません。
人間の体タンパクを分解して利用します。人間の体でタンパク質
が豊富なのが血液と筋肉です。特に筋肉は糖に変換できるタンパク
質を多く含むので癌細胞にとっては一石二鳥です。癌患者が例外
なく痩せるのは筋肉を癌細胞に持って行かれるからです。同様の
機序で血液も分解されるので、いわゆる貧血も必発です。
筋肉が減ればカロリー不足になって体温が下がるので、冷え症に
なるし、酵素活性は落ちるしで、とてもしんどくなります。また
貧血で体中が酸欠になりますから、冷えに拍車がかかって
凝りや立ちくらみや疲れも増幅します。俳優の今井雅之さんの
会見を覚えている方も多いと思いますが、痩せて立つことも
できず、声を出すのもやっとでしたね。それは癌によって筋肉と
血液を奪われたがためです。
癌は日本人にとても多く、死に直結する怖い病ですが、癌細胞
そのものに殺されるのではなく、癌細胞に貴重なタンパク質を
根こそぎ持って行かれて栄養失調が原因で死に至るのです。