院長室

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不定愁訴と人は言う

「不定愁訴」は医療関係者なら一度は耳にしたことがある

はず。そして患者さんの耳には入れたくない言葉でもある

はずですね。


愁訴とは苦しみや悲しみを訴えることで、不定とは一定

しないこと。つまり、本来「不定愁訴」は医療現場で

使用するなら「症状が一定しないこと」です。例えば、

前回受診時は腰痛を訴えていたが、今回はめまいを訴える、

のように来る度に症状が違うなんて具合です。けれども

実際には、ストレスフルで整合性のない神経症的な症状

をまとめて「不定愁訴」と表現していることが多いよう

です。


さらには検査で異常がないのに症状が強い、典型的では

ない、こんな理由で「不定愁訴」と扱われていることも

しばしば。こんなの冤罪以外の何物でもないし、言葉の

誤用甚だしいことこの上なし、なわけです。単に診断が

つけられないのを、「不定愁訴」だから「ストレス」

なので心療内科へ紹介、という診療は恥ずべきです。


ちなみに漢方薬の加味逍遙散という薬は、その名の通り

逍遙散に生薬を2つ加味したものですが、この「逍遙」

というのが症状が揺れ動く事を表しており、「不定愁訴」の

薬として有名なわけです。本来はイライラや不眠がメイン

の更年期症候群の薬、ではないんですねー。


それはさておき、この文章は「不定愁訴」を「自律神経

失調症」に置き換えてもそっくりそのまま成り立ちます。

診断名を付けないと保険診療が成り立たない日本の医療の

負の側面の一つです。

2015年11月5日 木曜日

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迅速検査

栄養療法の特徴の一つが、個人の血液検査データを基に

治療方針を組み立てることです。当院でも食事指導や

サプリメントの決定には必ず血液検査を行っています。


この血液検査、広くどの機関でも受けられるものですが、

すぐに結果が出ないというデメリットがあります。我々から

しても患者さんにしても、治療の方向性は早く決めたい

ところですから、なるべく早く結果が知りたいのが本音

です。しかも項目によって結果が出るまでの時間に差が

あるので、早くても1週間、遅ければ3〜4週後にしか

結果は出ないのが痛いところです。


そんな中にあって、採血後その場で結果が出るという機械

の開発が進んでいます。これが全項目に適応されれば

かなりの時間節約になるので、とてもありがたいのです。

しかしながら現状実用化されているのはHbA1cくらい。

これは糖尿病の指標になるので、例えばクリニックで、

例えば薬局なんかでも導入を勧めるメーカーがあります。


うん、まあ、ありがたいんだけど、HbA1cじゃあねぇ、

というのが正直なところ。HbA1cを糖尿病の指標に

していたのはもう昔のことなんすよね。仮にHbA1cが

正常値でも血糖値に異常がないとは言えない、特に血糖値が

乱高下する方の場合はひどい症状が出るけど、HbA1c

はまず異常になりません。むしろ低血糖症が改善すると

上昇することさえあります。バカ高い迅速検査機を導入

しても診断や治療に直結しないんでは無意味と言わざるを

得ませんよね。


医療機器は進化していますが、それは医療の進化と歩幅を

合わせて初めて意味があります。そうするとメーカーサイド

も敏感に医療の動向を見守らなければ、数年かけて開発した

ものが全く通用しないなんて可能性もあるのです。可哀想に。


まあでもこれは医療業界に限ったことでもないですね。ニーズ

に合わせる柔軟性と、半歩先を読むセンスが商売の武器なん

でしょう。

2015年11月2日 月曜日

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You are what you eat

「あなたはあなたが食べたもので作られる。」これは

栄養療法では格言めいた有名な文言で、ダルビッシュ投手

が紹介していたり、最近ではもこみち君も言っています。

シャンプーのCMですが。(笑)


当然と言えば当然のことで、悪い食習慣では細胞は悪く

なるし、良い食習慣では良い細胞ができるから健康に

なるよ、という食の重要性を改めて説いた名文と思います。

食事療法を導入する上での「殺し文句」とも言えましょう。


実はもう一つ名文がありまして、それは「腸の中は身体の外」

というものです。我々は食事を食べたり薬を飲んだりしたら、

それで安心してしまう傾向がありますが、口に放り込んでも

それだけでは吸収されたわけではないよ、ということです。

つまり栄養素でも薬物でも吸収されて初めて身になるから、

腸内環境を常に気にしなさいよ、という示唆なわけです。


これも当然と言えば当然なのですが、忘れがちな部分でも

あります。せっせとプロテインを飲んでも吸収されなければ

筋肉にもなりませんし、またウィルスなんかは吸収されたら

困るので、ブロックして下痢させたりもします。俗に胃腸風邪

と言われる病態です。


これら2つの名文を合わせると、「あなたは腸が吸収したもの

で作られる」となります。何となく文の美しさが半減した気も

しますが(笑)、そういうことです。英語で言うと「You are

what guts digest」となるのかな?語呂悪いから流行らんな。(^ ^;)

これからは食事も薬もサプリメントも「果たして吸収されたのか?」

という視点を持ちましょう!

2015年10月29日 木曜日

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胸を開く

外科医が「胸を開く」と言うとゾッとしますが、これは

徒手治療家の間でもしばしば使われる表現の一つです。

「胸をゆるめる」なんかも同義語で、要は深い呼吸をする、

あるいはそうさせる手技のこと、を指しています。


胸郭周辺は自律神経の影響を受けやすい部位で、緊張して

いれば固まって自然と呼吸は浅くなり、逆にリラックス

していると弛緩して呼吸は深くなります。呼吸が浅いと

酸素を取り入れる効率も悪くなりますから、呼吸回数を

稼ごうとして頻呼吸になります。早く浅い呼吸になるわけ

ですね。


睡眠不足でイライラしてのぼせもある、なんて人はたいてい

この呼吸パターンになっていますし、日常でも焦って仕事

をしている時なんかこういう状態に陥っています。そもそも

そんな時はそれを自覚する余裕がないとは思いますが。(^ ^;)


こういう過緊張状態では色んな症状にも過敏になっている

ので治療が難渋します。そこで徒手治療などの現場でも

様々なテクニックを用いて胸郭をゆるめ呼吸を深くし、

過敏性を低下させて主症状の軽減を助ける方策が取られます。


漢方薬や栄養学でももちろん同様の考え方がありますが、

手っ取り早いのは「吐き切る呼吸法」です。口をすぼめて

ゆっくり、長く、肺の中の空気を全て出すように吐き切り

ます。すると苦しくなるので反動で一気に吸います。その時、

「ホッとする」ような感覚になっていると思います。

これを数回繰り返すと緊張がゆるむんですねー。


寒くなるとただでさえ身体はこわばってしまいます。そこに

イライラが乗っかると一気に不調になることも。寝る前や

お風呂タイム、空き時間などに上手に「胸を開いて」、

リラックスしてみましょう。(^ ^)

2015年10月26日 月曜日

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「ジョン・ウィック」

「キアヌ・リーブス完全復活!」と銘打ったアクション

ものです。別に休んでたわけでもないのに「復活」なんて

言われるとキアヌも複雑でしょう…。(^ ^;)

 

ストーリーは至ってシンプル。足を洗った凄腕ヒットマンが

ある事件をきっかけに復讐鬼と化し、バッタバッタと敵を

殺しまくる、というだけ。注目すべきは“ガンフー”とか言う

この映画のために創造されたガンアクション。流れるような

体術と至近距離からの射撃の組合せはなかなかに素敵。

“ガン・カタ”最高だけど“ガンフー”も良いじゃん。

 

で、逆にそれ以外はちょいとイタい。暗殺者を殺す仕事

を請け負っていた、という設定の主人公なので、強いのは

いいんだけど、全部真っ向勝負という暗殺者たらぬ戦略の

数々は設定を揺るがしてしまいます。しかもそのせいで

捕まって親友に助けられて、親友が殺害されるという、

これまたらしからぬ展開に唖然。ランボーでもそんな戦法

とらんぜよ。

 

悪役がショボイのも残念なところ。ロシアンマフィアの

冷酷さをもっと前面に出さないと主人公の強さも引き立ち

ません。殺しのプロ同士の戦いなんだけど、結局は復讐し

合いの肉弾戦、という結果になってしまいました。既に

続編作成が決定しているそうで、できれば主人公の路線を

しっかり方向付けして欲しいところです。って、まあ続編

絶対観ますが。(笑)

 

でさ、続編作成決定は公開前から知らされていたんだけど、

本編の最初のシーンが瀕死の主人公なわけですよ。本来、

えっ?!どうしてこうなった?そしてこの先どうなるわけ?

という演出のハズなのに、続編決定を知ってるから主人公は

ここで死ぬわけないじゃん、とイキナリ白けちゃうん

ですよ。これは結構致命的。もう少し宣伝時期も考えて

欲しいです。誰に言えばいいか分かんないけど。

2015年10月22日 木曜日

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