まだインフルエンザは流行していませんが、胃腸炎は多い
ようですね。家庭内感染する傾向が強いので、子供が罹患
して一家全員感染、なんてことも多々あります。
さて、胃腸炎は「胃腸風邪」なんて言われますが、じゃあ
風邪の漢方薬である葛根湯は効くのか?答えは No です。
通常の風邪も胃腸炎もウィルス感染であることは共通
していますが、そもそもウィルスを殺す薬はありません。
感染による症状を緩和しているだけです。
葛根湯が風邪薬と言われるのは、葛根湯に含まれる麻黄と
桂枝という生薬が発汗を促して身体の中の熱を発散させる
からです。葛根は後頚部〜頭の痛みを緩和させるので
悪寒、発熱があって頭痛がある風邪に適応となるわけです。
なので、下痢や嘔吐が症状の中心である「胃腸風邪」には
ほぼ無力なんですね。当然、嘔吐や下痢を緩和する生薬を
含む漢方薬が治療薬となります。半夏、生姜、黄芩などが
それらの症状に有効な生薬なので半夏瀉心湯や小柴胡湯と
言った薬が「胃腸風邪」には向いています。
まあ嘔吐がひどければ内服自体できないわけで、常に上記
の漢方薬が活躍できるわけではないですが、「胃腸風邪」と
診断されると西洋医学的には特に薬はない、と言われる
こともしばしばだと思うので、知っておくと便利です。
もちろん部屋の換気や、外出後・食前の手洗いは必須です!