2日前の新聞に生薬価格高騰の記事がありました。中国国内
での消費が亢進していることなどが原因だそうで、それに
よって当然日本の漢方薬はコスト高となり、メーカーは大変。
対策として国内での生薬生産を模索中、ということでした。
特に人参は4倍以上の値段になっており、人参を使用した
漢方薬はもの凄く高くつくようになっています。補中益気湯
なんてとても良い薬ですが、人参が主薬なので無いと困って
しまう方剤の一つです。日本は漢方薬も保険適応なので、
厚労省が定めた金額で処方されるためこのような高騰は
患者さんには実感がないでしょう。
しかも昨日の新聞には次回の診療報酬改定で薬の値段はさらに
低くするとの記事が。医療費が税収をはるかに超えているという
異常事態なので、医療費削減の目的で薬価を下げるのは致し方
ないのでしょうけど、漢方薬メーカーからすると生産コストは
上がるけど、売値は抑えられるというこれまた異常事態な
わけです。実際に経営が立ちゆかなくなって生産をやめた
メーカーもあるようです。
国内に生薬畑を作る案は数年前からありますが、生薬によって
生育環境が異なることや、そもそも薬効成分がしっかり備わって
いるかなど、通常の農作物とはまた違った難しさがあります。
恐らくそう簡単に国内生産はできないでしょう。
この1面だけを見ても日本の医療が崩壊しかかっていることは
明白です。漢方薬だけ薬価を上げるなんてありえないでしょう
から、さらにメーカーは苦心することになるでしょう。仮に
漢方薬が保険適応から外れても国内の薬剤使用割合からすると
医療費削減には大して貢献しません。まあ平たく言えば日本人は
薬飲み過ぎなんですよ。だから海外メーカーにも狙われるのね。
やはり根本的には国民全体で薬に頼らない治療を重視すべきだし、
直近の対策としては問答無用に増税するか自己負担割合を増やして
税収を確保するしかないでしょうね。もしくは薬を異常に高く
設定して使いづらくする、なんて荒業もありかもね。今飲んでいる
薬が本当に必要なのか、を見直す機会なのかも知れません。