またしても2本立てレビュー、失礼します。なんせ今月は
必修作品(笑)が多いので時間割が大変なんですよ。
さて、1本目「神様メール」。ベルギーの作品ですが、
これはぶっ飛んでて面白い。全知全能の創造主である神が
性格の悪い小汚いオッサンで人類に嫌がらせばかりしてて、
それを見かねた10歳の娘が地上に降りて導こうとする、
というお話。もう設定だけで笑えますが、決してコメディ
ではなく、テーマはズバリ「生と死」です。ヘンテコな
設定は深淵なテーマをライトに見せるための舞台装置
なのかも知れません。随所に「?」な部分もありますが、
キワモノっぽく見えて実は素敵な映画です。
ただ公式サイトの解説は結構本編の内容とズレてて、誤解を
産むかも知れないです。邦題もおかしいし。決して「神様
から素敵なメールが届いて人生が変わった。」的な映画では
ないのでご注意を。しかし、この映画が「マッドマックス
怒りのデスロード」の興行収益を抜くベルギーのお国柄が
素敵。尊敬に値する。
そして我らが日本の映画、「殿、利息でござる」。貧困に
あえぐ村民が領主に銭を貸す、という大胆な発想で存亡の
危機を免れる、という実話ベースの作品です。主演の阿部
サダヲさんはじめ、瑛太さん、きたろうさん、妻夫木聡さん
皆さんとてもお上手。特に当時の生活の演出はリアリティー
があって秀逸。これを体感するだけでも価値があるというもの。
しかしながら、完全に宣伝方法を間違ってしまっているのが
もったいない。あたかもギャグ映画のようなCMが流れて
いましたが、ユーモラスに描いているだけでギャグはありま
せん。またCMで超重要人物を出しちゃってる最悪ぶり。
アノ人が出てくるのを知っちゃってるので、ラストのカタルシス
が台無しです。お話自体は忍耐がメインなので地味なんです。
でも「地味な苦労話です!」では観てもらえないので(笑)
苦肉の策なのかも知れませんが、若干詐欺っぽいですわ。
2本とも前情報がアテにならないという共通項がありますが、
幸せを感じられる作品、というのも共通しています。是非どうぞ。