院長室

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「君の名は。」

どこでどう火が付いたかよく分からないんですが、超絶人気

で都市部では満席も出ている日本のアニメ映画「君の名は。」

です。僕も全くノーマークで、評価の高さから観に行った

クチなんで、新海誠監督の過去作品なんかは未見です。

 

うん、確かに凄かった。CMでは、遠く離れた場所で心を

通わせる少年と少女の物語とだけ紹介されていて、通常なら

「かっ!ぺっ!」的反応(お下品)でスルーしちゃうトコ

だったのですが、見逃さないで本当にヨカッタ。確かに

前半は青春映画まっしぐら(?)で若干こそばゆい思いを

するわけですが、これは実はミスリードで、下手をすると

SF過ぎて引かれてしまう本作のメインテーマを現実に繋ぎ

止める役目もしています。つまり脚本演出が極めて上手い。

 

中盤以降のミステリアスな展開とラストへのカタルシスは

美しい画と相まってゴジラ顔負けの迫力。人の絆を描きながら

も、感動お涙頂戴な方向性でなくどこか冷めた、俯瞰した

距離感で終始するのも好感度高しです。このあたりも

ヒューマンドラマを敢えて排除した今年の大傑作「シン・

ゴジラ」と何となくリンクするのですよ。両作ともネタバレ

厳禁でここまで来ているので、内容紹介はここまでで。

 

アニメと言えば声優さんが重要な役割を担いますが、旬な

俳優に無理くり声をアテさせる風潮がある中、今作の

ヒロインには上白石萌音さんが抜擢。大大傑作「おおかみ

こどもの雨と雪」にも出演しているそうで。もう一人の

主人公の少年には神木隆之介さん。お二人とも素晴らしい

演技でした。性別を超えるので(笑)なかなかの難度を

要求される役を見事にこなしています。

 

大号泣するような作品ではないですが、日本人の文化に

根ざした、美しい映画です。邦画の実写とアニメでこんなに

盛り上がった年があっただろうか。この夏はゴジラと本作

に感謝です。

2016年9月5日 月曜日

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高齢者の痛み

捻挫や骨折などの外傷以外で腰や膝の痛みを抱える

高齢者は多いです。高齢化社会にあって健康寿命は

むしろ短くなっている日本の現状を見ると、医療が

貢献しているとは言えないかも知れません。

 

痛みに限らないかも知れませんが、症状が治らないと

言下に「老化」と言われ「仕方ない」「付き合っていく

もの」的な説明で終わってしまうこともしばしば。

患者さん自らがそう説明して自身を納得させている場面

もあるくらいですから、かなり浸透している扱いのよう

に感じます。

 

もちろんこれは間違いではありませんが、「老化」に

よって何が変化してどう症状に関与しているかを説明でき

なければ単なる逃げ口上と取られても仕方ありません。

そしてそれに対しどう対処していくのが良いのか、を

提案できて初めて医療だと思います。その上で仕方がない

場合はあります。

 

敢えて「高齢者医療」という表現をすると、その本質は

身体の老化=退行変化であり、抗炎症剤が中心のいわゆる

整形外科的治療は適していないと判断すべきです。老化で

筋力が衰えるから痛い、ので筋トレっていうリハビリメニュー

も首をかしげざるを得ませんよね。

 

退行変化の全てを科学的に説明できるわけではありませんが、

東洋医学でも西洋医学でも論理的な思考を捨てないことが

重要だと思います。

2016年9月1日 木曜日

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28℃が適温か

エコの観点から冷房時も室温は28℃くらいが望ましい、

と言われています。冷え症の女性からすると、職場の

冷房問題は結構深刻で、リモコン操作権(?)がない上に

直撃する座席だったりするのでそれはもう仕事どころじゃ

ないそうです。体調管理上もやはり28℃くらいが良い

とは思います。

 

かく言う僕は結構暑がりで、例年自室では南向きという

こと相まって冷房は25℃を上回る設定はしていません

でした。冷え症の女性とは暮らせない身体。(笑)

でも今年は、何と下手すると29℃設定なんですよ。

何故か。まず、徹底的にエアコンを掃除しました。そして

家具の配置を換えて空気の流れが良くなるよう工夫しました。

そんだけ。

 

どんだけエアコン汚れてたのよ、ってのは置いておいて(笑)

要は暑いからと言って冷房をどんどん効かせるだけが方法

ではないということですね。効かせる工夫で変化が出るかも

知れないわけです。

 

これは薬や治療法にも言えることで、痛いから痛み止めを

増やしたり、次々と新しい治療法に手を出したり…だけでは

結局弊害も出てしまうことに通じます。痛み止めが効かない

のは吸収が悪いからではないか、とか、徒手的な治療であれば

自分の治療体勢が悪いのではないか、といった視点が

もしかしたら状況打開に繋がるかも知れません。どこに

目を付けるか、ですね。

2016年8月29日 月曜日

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裏と表

どんな事柄にも良い側面と悪い側面があるし、そもそも

2次元以上の世界では見えない部分が必ずあるもの。

つまり我々が認識するものは何でも二面性があってしかる

べき、なわけです。

 

そしてその不都合な部分を「裏」なんて言ったりするので、

イメージとしては「裏」は悪いことのように感じます。でも

「裏番長」と言うと何か大物っぽいし、「裏技」と言うと

効果抜群っぽくも感じますが。まあそれは余談。(笑)

 

漢方医学の評価にも「表裏」というパラメータがあります。

患者さんを見て「表」だの「裏」だの言うことになるので、

聞きようによっては感じ悪いことこの上ないんですが(^ ^;)

これは先の二面性とは全く違います。

 

漢方医学で言う「表裏」は「病変の深さ」を意味します。

「表」は浅い位置、「裏」は深い位置のことです。例えば

皮膚に赤みがあったら、「表」が病変部位ということに

なりますし、胃腸風邪のように感染性腸炎であれば、それは

「裏」に病変があると表現します。もちろん「裏」に震源地

があって、症状は「表」に出ている、という場合もあります。

 

この「表裏」を評価することで使用する生薬が変わったり

するので、意外と重要な要素なんです。特に風邪などの

感染性疾患の場合は、「表裏」が診断の要になると言っても

過言ではありません。そしてその「表裏」を見分ける時に

脈を触ったり、舌を診たりしているのですね。

 

ちなみに有名な葛根湯と言う薬は、「表」の病変に用いる

薬なので、当然胃腸風邪には効きません。ガッテンして頂け

ましたでしょうか?…まさか、これが言いたかっただけ!?

2016年8月25日 木曜日

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薬イジメ

“文春砲”に対抗するためなのか、ある週刊誌で執拗に薬の

害について取り上げられていますね。「○○は危険!」とか

「医師は決して飲まない!」とか、なるほどこう書くと

注目を集めるのか、という参考にはなりますが(^ ^;)、

僕も処方する側ではありますので、看過はできません。

 

まあ僕も「薬は最小限に」がモットーなので、こういった

記事が過剰な処方に歯止めをきかせる効果が期待できる面は

評価したいところです。しかしながら一部記事では、

飲んではいけない薬一覧に「漢方薬全部」となっていて

びっくらこきました。(古い)

 

薬は人体にとって異物である以上、当然何かしらの副作用は

想定されます。そもそも人体に備わっている物質は薬として

認可されないので、例えば女性ホルモン剤などは敢えて

一部組成を変更して薬を作製したりします。なので、薬の

添付文書には危険性や副作用の可能性が必ず明記されている

わけです。

 

危険性や副作用にも幅があって、高頻度に発現するものや、

一度出ると重篤になるものは当然慎重投与をするべき薬、

ということになります。逆に想定はされるけれど、ほとんど

見られないものや、内服中止ですぐ消えるものもあります。

 

週刊誌の内容はそれを一括りに「危険」としているところに

問題がありそうです。信憑性を出すために医師のコメントも

併記されていますが、「副作用の可能性」を言っているだけで

それを「飲んではいけない」とするのは飛躍があります。

そこまで言うのならば、薬を使わない代わりの治療方法を

提案して欲しいものですが、まあそれは期待しても無理かな。

 

薬大好き日本人にはそれこそ良いクスリになるとは思いますし、

記事が医療費抑制に繋がれば賞賛の対象にもなりますが、

記事が本当に患者さんや医療業界に向けたメッセージなのかは

疑問です。販売部数が伸びればそれでよし、だとすると一過性

の流行で終わってしまうでしょうね。もしくはそうならない

ようにさらにエスカレートするか。そういや手術もヤリ玉に

挙げられてるから、次は何が来るかな?

 

2016年8月22日 月曜日

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