どこでどう火が付いたかよく分からないんですが、超絶人気
で都市部では満席も出ている日本のアニメ映画「君の名は。」
です。僕も全くノーマークで、評価の高さから観に行った
クチなんで、新海誠監督の過去作品なんかは未見です。
うん、確かに凄かった。CMでは、遠く離れた場所で心を
通わせる少年と少女の物語とだけ紹介されていて、通常なら
「かっ!ぺっ!」的反応(お下品)でスルーしちゃうトコ
だったのですが、見逃さないで本当にヨカッタ。確かに
前半は青春映画まっしぐら(?)で若干こそばゆい思いを
するわけですが、これは実はミスリードで、下手をすると
SF過ぎて引かれてしまう本作のメインテーマを現実に繋ぎ
止める役目もしています。つまり脚本演出が極めて上手い。
中盤以降のミステリアスな展開とラストへのカタルシスは
美しい画と相まってゴジラ顔負けの迫力。人の絆を描きながら
も、感動お涙頂戴な方向性でなくどこか冷めた、俯瞰した
距離感で終始するのも好感度高しです。このあたりも
ヒューマンドラマを敢えて排除した今年の大傑作「シン・
ゴジラ」と何となくリンクするのですよ。両作ともネタバレ
厳禁でここまで来ているので、内容紹介はここまでで。
アニメと言えば声優さんが重要な役割を担いますが、旬な
俳優に無理くり声をアテさせる風潮がある中、今作の
ヒロインには上白石萌音さんが抜擢。大大傑作「おおかみ
こどもの雨と雪」にも出演しているそうで。もう一人の
主人公の少年には神木隆之介さん。お二人とも素晴らしい
演技でした。性別を超えるので(笑)なかなかの難度を
要求される役を見事にこなしています。
大号泣するような作品ではないですが、日本人の文化に
根ざした、美しい映画です。邦画の実写とアニメでこんなに
盛り上がった年があっただろうか。この夏はゴジラと本作
に感謝です。