整形外科ならぬ、整形内科という言葉をご存知でしょうか?
手術をしない、あるいは手術適応でない疾患に対する筋骨格系への
アプローチをする科、という定義になるかな。
整形外科に限らず外科系は基本的には手術療法をメインとする科
ですが、だからこそ手術適応の判断や、術後のフォローなんかも
重要になります。その過程で、手術的な手技以外でもより多くの
治療選択肢や方法論があれば治せる率は上がるはずです。
実際には、残念ながら手術ばかりが進歩して手術以外の方法は
遅れていると言わざるを得ません。しかも手術適応外であったり
術後の経過が芳しくない例が増加している現実もあります。整形外科
を受診しても痛み止めと湿布が出るだけだから行かない、なんていう
言葉を聞いたりもします。そんな中、手術療法以外の治療に重きを
置こうぜ、と提案するのが整形内科です。
これまでも例えば骨粗鬆症に対する薬物療法なんかはしてきた
わけで、これも広い意味では整形内科と言ってもいいかも知れません。
ウチみたいに漢方薬を使用したり栄養的指導をするのも整形内科
と言えるでしょう。まだ正式名称ではないので、言ったもん勝ち
です。(笑)
現状では、肩こりや腰痛に対するエコー下生理食塩水注入療法
(ハイドロリリース、ハイドロダイセクション)のことを主に
整形内科的アプローチとしていますが、それに拘泥せずもっと
色々な範囲に治療のチャンスを増やせるといいな、と思っています。
それには柔軟な発想と挑戦する勇気が必要かと思いますが、整形
内科に関して言えば、整形外科の医師が言い出した、ということに
価値があると思います。これまでの業績に安住していない、という
ことですから。整形内科という標榜ができるようになったら、
アタマが柔らかい医師が増えたという証拠になるでしょう。