院長室

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「プリズナーズ」

久々の映画鑑賞はドゥニ・ヴィルヌーヴ監督のミステリー。この監督の

前作「灼熱の魂」は一級のミステリーでありながらラストが衝撃的すぎて

トラウマになる程だったので、今作も恐る恐るの鑑賞。

 

平和な田舎町で幼い少女がふたり誘拐される。それぞれの両親と刑事は

必死に捜索するがなかなか手がかりすら掴めない。そんな中容疑者を発見

するが…。というまあ至ってシンプルなストーリー。前作に比べて格段に

観客に親切な作りでじっくり物語に没入できます。かつトラウマにも

なりません。(笑)

 

ミステリーとは言ってもメインとなるのは子供を想う親の心理描写です。

父親役のヒュー・ジャックマンがその情愛と狂気と苦悩を見事に演じて

います。もうウルヴァリンはやめた方が良いと思うんだけど…(^ ^;)

でも僕は刑事役のジェイク・ギレンホールに釘付けでした。忠実で優秀で

理性的な彼がラストで取る行動は迫力満点。いい役者さんだなぁ。

 

事件を解決していく過程はスリリングでミステリーとしてのデキもかなり

良いのですが、若干ツメの甘い部分も。あと随所に「神」が登場しこれが

またキーワードっぽくもあるので、キリスト教圏ではない我々には今ひとつ

腑に落ちない部分があるかも知れません。まあそれでも昨今珍しいオリジナル

ストーリーでの映画という面でチャラになるレベルです。今後も要注目の

監督さんですねー。「プリズナーズ」と複数形になっている点を考察すると

面白いですよ。

 

トラウマと言えば、パク・チャヌク監督の「オールド・ボーイ」のハリウッド

リメイク作が公開されるようですね。もう10年以上前の作品ですが、

鮮明に覚えています。なんせトラウマですから。もう2度と観たくない

もんなぁ。(^ ^;)でもこの監督の他の作品は結構観ているという…。

そのうちトラウマ作品特集しよかな。ニーズないって?!

2014年5月8日 木曜日

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「白ゆき姫殺人事件」

湊かなえさん原作の同名小説の映画化です。クラシカルな題名とは裏腹に

扱っているテーマはメディアやネットの無責任さや残酷さで、かなり現代を

風刺した内容になっています。

 

主人公は殺人の容疑をかけられた地味な女性。ネットで顔や名前を晒された

ことにより報道も加速し、窮地に追い込まれます。この役を演じた井上真央さん

はとても上手いんだけど、顔の造りが良すぎるのか少し違和感が。これは他の

主要キャストにも言え、ちょいとキャスティングには疑問を感じました。

特に生瀬さんは違うやろ…(^ ^;)

 

そして殺人事件とか言って、誰かが事件を解決するために奔走する、という

構成ではありません。SNS上につぶやかれる情報、つまり又聞きの言葉が

あふれます。事件のトリックというか真相もそんなに斬新でもないのですが、

でもこの映画はとてもスリリングです。上手に伏線も仕込まれていて、最後まで

飽きさせません。

 

お、監督さん誰よ?!と思ったら中村義洋さんでした。彼は伊坂幸太郎原作の

ミステリーも何本も映画化しており、これまた全部面白いんですよ。ははーん、

なるほど、さすだね。原作は未読ですが、多分映画ならではの面白さがあると

思います。って言うか、ミステリー映画はちょいとした情報もネタバレになるから

レビューが難しいっすわ。今さらですが。

 

それでも社会的な側面も秀逸な映画ですので、一見の価値アリです。SNSでの

中傷やおバカ投稿への抑止に少しでも効果があるといいなと思います。お、何か

マジメ。影響されやすいから。(笑)

2014年4月3日 木曜日

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「LIFE!」

岡村隆史が主人公の吹き替えをやるとかやらないとか(やってんだけど)が話題で

どうも映画の内容そのものはあまりしっかり取り上げられていない感のある映画

ですが、いやこれ、傑作ですよ。

 

マジメだけど空想癖があってあまりパッとしない雑誌制作者が、廃刊号の表紙と

なる写真のネガを探すうち自分の人生そのものを探すことになるというお話。実は

60年以上前に製作された映画のリメイクらしく、その原作となるともっと古い

らしいです。そのため、さすがにテーマそのものは使い古された感がありますが、

演出と俳優陣の演技で、見事な現代劇となっています。

 

監督・主演はベン・スティラーさん。どうもコメディアンなイメージがありましたが

実にカッコよい。空想だけは逞しかった男が終盤にむけてリアルに逞しくなって行く

過程を見事に演じています。ネガを探すくだりはミステリィタッチだし、海や火山(!)

などの自然の描き方も素敵。ご都合主義な部分も多いですが、単純なストーリーに

贅沢な味付けをしており監督としてもかなり評価を得られる作品になりそうです。

 

そして、そのネガを送りつけてきた孤高のカメラマンをショーン・ペンが異常にカッコ

よく演じています。なにこの渋さ。なにこの存在感。もったいぶる演出のせいかも

知れないですが、彼を見るだけでも価値があります。(^ ^)

 

岡村隆史が嫌いなわけではないですが(むしろ大好き 笑)、この映画はやかましい

吹き替えでなく、台詞のないシーンも含めて素で楽しみたい作品です。ちなみに

原題よりも邦題の方が内容にマッチしている希有な映画でもあります。

2014年3月20日 木曜日

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「キック・アス ジャスティス・フォーエバー」

だいたい映画の続編や第2弾というのは味が薄まって、見るに堪えないものが

約8割という感じがしており、この「キック・アス」の続編も恐る恐る鑑賞

しましたが、まあその8割寄りな結果でした。

 

第1弾があまりに傑作だと続編への期待度も当然上昇するわけで、それに沿った

作品にするか、敢えて無視するかで大きく分岐すると思います。大概スポンサーの

しがらみとかで、製作サイドの思惑通りに行かずとんがった部分が見事に削られた

最大公約数的な作品に成り下がるわけで、人気作品であればあるほどスポンサーの

影響力が大きく続編が平凡に終わるのは仕方がないことだとも思います。

 

「キック・アス」は現実と虚構を見事なバランスで描き、意表を突く展開でぶっち

ぎりに面白かったですが、今回の続編では前作の補完的な内容になっており新鮮さに

欠けるのが最大の欠点でしょうか。クロエ・グレース・モレッツ演じるヒット・ガール

の成長した姿が今作の売りでもあるのですが、前作の「幼児体型なのにめっちゃ強くて

残虐(笑)」という設定を凌駕するほどではないです。主人公のキック・アスも既に

ダメ人間ではなくなっており存在感が薄れています。

 

まあ「キモーい」とか「バカでー」って観るぶんには楽しい映画ですが、前作の

突き抜けた面白さは期待しない方が良いですね。ジム・キャリーの豹変っぷりは

一見の価値アリですが。(^ ^)

観終わった誰もが「ゲロゲリ棒」を量産すれば最強じゃね?という感想を持つこと

請け合いです。

 

エンドロール後の一幕で続編を臭わせる当たりがまたカンに障りますが、さすがに

パート3は厳しいかな。でも観るんだろ?!というツッコミ大歓迎です。(笑)

2014年2月27日 木曜日

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「アメリカン・ハッスル」

初めて朝イチ上映の「モーニングショー」ってのに行きましたが、割引が

あるせいか結構人がいました。僕の定位置を取られていてちょっと悔しい。

 

「アメリカン・ハッスル」は1970年代にあった事件を元にした映画です。

FBIが捕まえた詐欺師と協力して汚職事件を暴こうというお話。こう聞くと

いかにもクールな頭脳戦を期待してしまいますが、どちらかというと真っ当な

人生を歩めない男女の愛憎劇、といったところ。事実を元にしているせいか

脚本は随分と工夫されていますが、そのせいで少し登場人物の人間関係が

分かりにくくなってしまっています。サスペンスとしてもそんなに捻りが

あるわけでもなく。

 

ただ出演陣は大変素晴らしい。主演のクリスチャン・ベイルはいつもの如く(?)

体型から変わっちゃってます。今回はブヨブヨ腹のハゲおやじ。(笑)よくも

まあいつもいつもこんなに変われるもんだ。しかしながら「ザ・ファイター」

でもそうでしたが、基本品がある人なので、色々いじってもあんまり汚らしく

見えないんですよねぇ。(^ ^;)やっぱり寡黙な紳士がよく似合う。その他、

エイミー・アダムス、ブラッドリー・クーパー、ジェニファー・ローレンス、

と中心人物の演技は眼を見張るものがあります。ついでにロバート・デ・ニーロ

もオイシイ役所で出てます。(^ ^)

 

この手の映画はどうしても当時を肌で知らない人には入りにくい感があります。

そんなに昔の出来事ではないから余計な説明は省かれるし、そもそも事件を

知らなければついて行くのにやっとだったりします。そして国も違うとなると

結構しんどい。三島由紀夫事件の映画を現代の海外の人に観せるようなもの

でしょうか。ま、でも僕みたいなクリスチャン・ベイル好きには楽しい映画です。

2014年2月13日 木曜日

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