特撮ヒーローの中の人(スーツアクターと言います。通称スーアク)にスポット
をあてた映画です。何を隠そう大の特撮好きの僕にとって、この映画はまさに
どストライク、相性バツグンのお相手でした。
普通、スーアクさんを始め、照明さんや音声さん、美術さんなどアクション番組
の裏方にはあまり目が行かないものです。特にヒーローものは最近では若手イケメン
俳優の登竜門的な扱いを受けているので、余計です。それを逆手にとって熱血
ベテランスーアク(もうこの設定だけで泣ける ^ ^;)を主人公にした映画を作った
わけですね。実際には俳優さんとスーアクさんは仲が良いし、スーアクさんの掲示板
があるほどコアなファンもいるわけですが。
主人公を実際にスーアク経験のある唐沢寿明さん、裏方に気を遣わないイケメン
俳優役を仮面ライダー経験のある福士蒼汰さんが演じています。解説風台詞が多い
のは脚本の難点ですが、配役はこの上ないでしょう。彼ら以外にもちょいちょい
特撮経験者が出演しています。特撮の現場のウンチクてんこ盛りでもう一場面、
一場面が見逃せません。制作側の、特撮やアクション映画への愛やリスペクトが
溢れています。
惜しむらくは、「CGなし、ワイヤーなし、長回し」の前フリがハッタリで終わって
しまったこと。もしこれをやっていたらとんでもない映画になっていたでしょうけど、
50歳の唐沢さんにはちと無理ですわな。世界広しと言えどもこれができるのは
トニー・ジャーくらいですから。(笑)あとは脚本面での粗がまあまあ目立ちますし、
監督役の言動がアホすぎて今一つ緊迫したラストへの説得力に欠けます。が、まあ
そんなことは些末なこと、と思えるほどに気分の良い映画です。エンドロール中も
昔の番組の撮影現場が流れていて、楽しめます。ちなみに主題歌を歌う吉川晃司さん
も特撮に縁があります。CDは速攻ポチりました。(笑)
バブルス君や顔ペケ剣士映画に押されて上映会館は少ないですが、特撮アクション
映画ファンはマストな作品でっせ。