壮大。かつ重厚。クリストファー・ノーラン監督最新作はシンチー監督の
「西遊記」よりもはるかにとんでもねー映画でした。だいたい僕にとっての
映画ベストラップは100分で、長い映画に傑作なし!が持論だったんですよ。
それをこの監督はことごとく覆してくれてるのです。本作も174分という
長尺ですが、全く無駄なシーンがないという僕の持論をあざ笑う作品。さすがに
観終わった後はフルマラソンを走ったが如く疲れますが(走ったことないけど)、
野球で完封勝利したかの如く爽快です。(完封どころかキャッチャーミット
まで届かないけど。)
さて肝心のストーリーですが、ごく近い未来、環境の悪化から人類は絶滅の
危機に瀕しています。何とか生き延びるべく、地球以外の惑星へ移住する計画が
密かに進行しており、その探索に主人公が選ばれる、というもの。特筆すべきは
ここまでは序の口で、ここから先の展開はキャストも含めて公開まで頑なに秘密
にされてきた、ということです。「西遊記」なんてCMで内容フル公開してたような
感じだった(笑)けど、本作においては徹底した機密管理がされていたようです。
これはとても成功しており、何かとネタバレが多い現代において、先が読めない
ドキドキを楽しめます。
「2001年宇宙の旅」、「コンタクト」、「ゼログラビティ」といった
古典から現代に至る宇宙ものの傑作にオマージュを捧げながらも、ノーラン監督
らしいリアル志向は健在で、宇宙ものでありながら、極力CGを使わないという
暴挙(笑)に出ています。200haのコーン畑のシーンはなんと苗から育てた
そうです。アホや。宇宙物理学についても専門家がアドバイザーについていたりと
抜かりはないのですが、さもすると素人置いてけぼりのハードSFになりそうな所、
コアは「愛と信念」という、誠に分かりやすい構成なので結構万人向けだったり
します。まあ巨額の制作費を費やしているので、一部のオタク受け映画にするわけ
にはいかんのでしょうけども。(^ ^;)
主演のマシュー・マコノヒーさんや、アン・ハサウェイ、マイケル・ケイン、と
名優揃いで演技も素晴らしいのですが、いかんせん作りがとんでもねーので、
過小評価されてしまうかも…。とてつもない感動を与えてくれたことに感謝し
ながらも、監督の才能への嫉妬を禁じ得ない複雑な心境になりました。どうぞ
その眼で確かめてください。(^ -)☆