院長室

« 2月 2024 11月 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30

「サバイバル・ファミリー」

ある日突然、電気もガスも使えなくなったらどうなるか?を

リアルに描いたポリティカルコメディー。「ウォーターボーイズ」

などでおなじみの矢口史靖監督最新作です。

 

矢口監督は「WOOD JOB!」や「ロボジー」など斬新な視点で

日本人社会を描く手腕が素晴らしいのですが、今作はこれまでとは

少し違って、原発事故を経験した日本人にとっては結構身近な

題材であるため、一歩間違うとほぼパニック映画になってしまう。

そのため無理にコメディ寄りにしている感はあり、心から笑え

ない部分はあります。

 

しかしながら、脱原発や自然賛歌を声高に主張しないところが

この監督らしく好感を覚えます。むしろ重きを置くのは「家族の

再生」です。利便になり過ぎた文明を槍玉に挙げるのではなく、

文明に溺れた現代人の弱さを描くことで、人間賛歌へと昇華させて

います。この辺りがとてもうまい。脚本の巧さでは三谷幸喜さん

が挙げられますが、平均点では矢口監督の方が上かも知れません。

 

主演ファミリーを父:小日向文世さん、母:深津絵里さん、

息子:泉澤祐希さん、娘:葵わかなさんが演じます。特に

深津さんが良い。かわいい。個人的な趣味ではなく。(笑)

彼女はここ数作で一皮むけたと言うか、とても巧みな女優さん

になった感じがします。彼女基準で観る作品を決めてもいい

レベルです。いや、個人的趣味ではなく。

 

ともすればホラーになりそうな所をコメディーとして成り立た

せているところが本作の眉目です。怖さと共にほっこりさせる

なんてなかなかの離れ業です。矢口作品万歳です。それはさて

おき久々に観た大地康雄さん、良かったなぁ〜。

2017年2月16日 木曜日

カテゴリー 院長室

タグ

高尿酸=グルメ?

尿酸値が高い人は美食家だとか、食い意地が張ってる(^ ^;)

とか昔からよく言われてきました。確かに肥満傾向の方に

多いように見えますが、さて…?

 

尿酸はプリン体から生成されるので、プリン体を多く含む

食材すなわち肉や魚卵、ビールが敵視されています。それは

間違いではないのですが排泄の問題も考慮しなければいけま

せん。つまり、たくさん作られているのではなく体から

出て行かなくても高値になるということです。

 

実際に、お酒は飲まないし肉は嫌い、なんていう女性が意外

と高尿酸だったりします。これは生成過多ではなく排泄低下の

典型です。そして日本人は排泄が低下しているタイプの高尿酸

の方が多いらしいのです。

 

ではどんな時に排泄低下となるか。それが糖質過剰摂取時なん

ですね〜。なんだよ、また糖質かい!と思った方、ええ、そう

なんです。(笑)聞き飽きたとは思いますが、それほど糖質過多

は多方面に悪影響を及ぼすと言うことを知って頂きたい。ビール

はプリン体も糖質も多いので尿酸値が高い人はやはりよろしく

ないでしょう。「プリン体カット、糖質オフ」な製品が出るのも

そういうわけですが、そこまで来るともうビールでない気も

します。(^ ^;)

 

では尿酸は低い方が健康かと言うと実はそうでもありません。

尿酸はヒトにとって強力な抗酸化物質でもあるので、低すぎると

身体はサビやすくなります。サビの極致はガンですね。でも、

だからと言ってプリン体を頑張って食べても急には上がりません。

もちろん糖質を摂取して排泄を抑えよう!なんてのも危険なので

やめてください。低い方はひとまずビタミンCやE、Aで抗酸化

対策をしておくことが大事です。

 

2017年2月13日 月曜日

カテゴリー 院長室

タグ

ダイエットは1人でしないこと

栄養療法をやっていると、ダイエットの相談をされることが

ままあります。女性の痩せたい願望は格好のビジネスネタに

なるので「○○ダイエット」などの情報は後を絶ちませんね。

 

栄養療法はこういった流行り物にありがちな方法論とは

違うので、患者さんによっては面食らうこともあるようです。

あくまでも腸内環境を睨みながら栄養の過不足を整える

治療法ですから、結果としての痩身でしかありません。

 

栄養療法の方法はさておき、ここで大事なのはダイエット中

は孤独ならないこと、です。どうしてもこれまでとは異なる

食生活になるので、自分だけ別メニューにするとか、なるべく

付き合いを減らすとか、失敗したら嫌なので内緒でやるとか(笑)、

どうしても独りで努力する方向に行ってしまいます。これは

相当に意志が強い方でないと結局脱落してしまいます。

 

日常生活習慣を変えるのは、例えそれが良いことと知って

いても困難なものです。それが食事ともなればなおさらです。

食事療法は正しいことをしっかりやるよりも、ゆるくストレス

がない範囲で始める方が上手く行きます。そのコツが、良い

意味で周囲を巻き込むことなんですね。

 

少しでも家族に同じものを食べてもらうとか、知人に公言して

逃げ場を封じるとか(笑)、僕に愚痴を言うとか。(笑)

食事療法に正論はいくらでもありますが、食事療法実践者に

とっての正解はそれぞれです。ゆるく楽しみながらやるのが

一番です。

2017年2月9日 木曜日

カテゴリー 院長室

タグ

花粉症の予防

今年は花粉の飛散が早いのか、既にちらほら花粉症症状の

方がみえています。風が強くPM2.5の可能性もありますが、

しばしば宣伝される抗アレルギー剤の事前投与は鼻炎症状の

緩和になり得るのでしょうか?

 

自分は花粉症がないので経験できないですが、理論的に考える

とそんなに意味はないようにも思います。抗アレルギー剤は

ヒスタミンの反応をブロックしますが、ヒスタミンが過剰に

遊離するのを防ぐわけではないからです。

 

経験的に事前投与に効果を感じている方は別にそれでいいと

思いますが、基本的には薬剤の予防的使用は効能の範囲外だと

思います。これは漢方薬も同じ。ただ、胃腸を整える漢方薬を

長期に服用して、腸内環境が整い、結果として花粉症が軽かった、

という例はあります。あとは、プラセンタ注射で肝機能が改善し

抗体産生が促進され、症状緩和につながるということもあり

ました。

 

それ以外ではやはり糖質制限が有効だと思います。糖質摂取から

引き起こされる血糖値の乱高下によりコルチゾールが浪費される

ことがアレルギー症状悪化に繋がるからです。花粉などの異物に

対する防御能力が下がるわけですね。糖質制限の基本は空腹時に

摂らないこと。全てを禁止しようと思うとなかなかのストレスに

なりますし、却って不調を招くこともあります。とにかく食事や

間食の最初に糖を食べないことです。

 

あとは適度に日光浴をすることでしょうか。紫外線刺激がビタミンD

の産生を促しますが、ビタミンD低値は高率にアレルギー症状を

引き起こします。ただでさえ日照時間の短い冬でも日焼け止めを

塗っている女性は要注意ですね。10〜15分でいいので何も塗らず

に日中に散歩してください。

2017年2月6日 月曜日

カテゴリー 院長室

タグ

対症と根治

とかく対極に位置するものは性質が真逆であるが故に対立

するもの、相容れないもの、として捉えられることが多い

です。テレビ番組でも“対決モノ”は構図がはっきりしている

せいか人気のようですね。

 

治療に於いても西洋医学は「対症療法一辺倒」だからと

批判され、もっと全体的に、あるいは根本から治しましょう

と宣伝されることがままあります。僕ももちろんその側面は

あると思いますが、問題なのは「一辺倒」であって「対症

療法」ではない、ということが重要です。

 

ですから仮に「根本療法一辺倒」と言ったらどうでしょうか?

風邪で38℃の発熱があるのに、生活態度を改めて、なんて

説明されたら腹が立ちますよね。骨折しているのに歩き方の

指導されても困りますよね。極論ですが。

 

やはり、現れている症状に対処する方法論と症状を出なくする

方法論は対立するのではなく、対極だからこそ併存させる

ことが大事だと思います。ケガの治療とケガしないための身体

の使い方、みたいに。そしてその解決のためにどんなツールが

最適なのか、が治療です。

 

予防医学はこれから流行ると思いますが、これは対症療法に

対立させるものではありません。自覚していない“症状”を

見つけ出して対症と根治を提案する、という事なので全く

考え方は一緒です。

2017年2月2日 木曜日

カテゴリー 院長室

タグ