患者さんが「治る」ために存在するのが僕ら医療者ですが、
「治る」の定義は人によって違います。日常生活に支障がなく
なればOKなのか、症状をゼロにしないといけないのか、あるいは
より強い身体をつくるのか、など。
それにより提案する治療も変わってくるのですが、忘れちゃ
いけないのは、我々の身体は新陳代謝という自己修復能力を
みんな予め持っているということです。例えば軽いすり傷
であれば病院に行くまでもなく自然と新しい皮膚に置き換わり
ます。風邪だって軽ければしっかり寝るだけで治りますよね。
俯瞰してみれば、治療とは個人の新陳代謝能を上げてあげるか
新陳代謝の邪魔をするものを排除するか、の2通りだけです。
ただ治療にはそれぞれ一長一短がありますので、なるべく
病態により合うものを提供できるかが医療者の能力、という
ことになります。
僕が栄養療法を積極的に提案しているのは、新陳代謝に働き
かけることができ、そして個人の病態を分析できるからです。
これはなかなか他に類を見ない特徴です。栄養療法では
糖質を敬遠する向きがありますが、これは感覚的に言って
いるのではなく、糖質過剰が新陳代謝を邪魔しなおかつ
副作用が出ること、そして分析してみると糖質過多の方が
多いからなんですね。
症状がなかなか良くならないと、自分は特殊なんだ、とか
自分は不幸だ、とネガティブ思考になりがちですし自暴自棄に
なったりもします。でも、生きている以上新陳代謝は必ず
行われているわけですから、そこに眼を向けて自分で自分を
応援してあげられればきっと光明が見えると思っています。