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小児の栄養療法

副腎疲労や腸内環境の悪化、重症アレルギー、自己免疫疾患

などなど西洋医学の治療では限界がある病態に栄養療法が効果

あるかも、という方向で脚光を浴び始めて数年。もちろん全て

の方に効果があるわけではないですが、なぜ効果が出ないか、

もまた栄養療法の範疇ではあるので、非常に応用範囲が広い

のは確かです。

 

しかしながら、応用範囲が広いがために却ってどんな病態に

適応できるのかが分かりづらくなってしまっている、という

側面もあります。自身が栄養療法にチャレンジする価値はある

のか、と悩んでしまう方もいるようです。逆に「○○は治るか?」

と詰め寄られることもありますが (^ ^;) 、ベースとなる栄養の

過不足が改善すれば良くなるかも、としか言えない歯がゆさ

もあります。

 

さて、そんな中「子供に栄養療法はOKですか?」と聞かれる

ことがしばしばあります。何か症状に悩んでいればもちろん

OKですし、実は特に症状が無くても1度は栄養療法的な分析

をすることをお勧めしています。

 

それはひとえに「成長が大量の栄養を消費するから」です。

大人が思っている以上に、成長には様々かつ大量の栄養素が

必要です。成長期ほど栄養失調になりやすい、と考えても

良いくらいです。それを分析して食事に繋げられれば、将来

出るかも知れない症状を抑えることができる、つまり予防に

なるので小児は栄養療法の良い適応になるわけです。

 

ただ血液検査ができるようになるには、ある程度の年齢に

なっている必要があるので、小学生になって成長が加速する

前、というのが実際ではあります。有機酸検査は尿検体なので

全年齢対象ですが、コストが高いのと分かることが限られる

のがネックです。

 

いずれにしても、栄養療法は非常に応用範囲が広くかつ

予防に繋がる、というのが大きな魅力です。そして成長期

こそ、しっかり栄養の状態を把握しておく必要がある、と

覚えておいてください。子供に嫌われたくないので無理に

検査はしませんが (笑) 、本人の了解が得られれば是非

行って欲しいですね。

2021年2月4日 木曜日

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肩コリの対処

腰痛の8割は原因不明、なんて教科書にも堂々と書かれて

いますが、肩コリや頚の痛みも意外と同様で、せいぜい

ストレートネックやPC作業の増加が挙げられるくらいです。

 

整形外科ではどうしても骨の異常に原因を求めがちで、骨に

問題がないと途端に “異常なし” になってしまう傾向があり

ます。もちろん最初から原因が判明することの方が少ない

ですから仕方がない面はありますが、少なくともコリや

張りを感じるのは筋肉なので、筋肉に対するアプローチは

もっとあっていいはずです。

 

まずやはり負荷を軽減するのを第1に考えたいところです。

頭の重さは4〜5kgはありますから、下向き作業や顎が突き

出た姿勢はその重さを支えるため過剰に負荷がかかります。

常に「背骨の真上に頭を置く」と意識するだけでも少し

症状は緩和されるかも知れません。

 

姿位に気を付けていても、同一姿勢が続いたり脱水傾向に

なると筋肉間の癒着・密着が起きやすくなり動きが制限され

ます。こういう場合は積極的な運動療法が有効です。整体

でもいいですし、ハイドロリリースも良いですね。併用する

と効果倍増です。

 

そして筋肉は酸素需要が高い臓器であることから酸欠に

非常に影響を受けます。酸欠も様々に要因がありますが、

ストレスを感じている時は血管が収縮して酸欠傾向になり

やすいです。また、糖過剰や鉄不足でも酸欠が起きます

から、ここでは栄養療法の介入が有効です。痛み止めの

湿布や飲み薬は血管を収縮させるので、この場合は使用

NGとなります。

 

負荷を減らし、動きを改善して、酸欠を予防する。うん、

標語に推薦されるかも知れん。(笑) それぞれ各論はさらに

細かく分かれますが「骨に異常はないから湿布で様子見」

よりはマシじゃないでしょうか?

2021年2月1日 月曜日

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全力で生きない

とかく、一所懸命とか全身全霊で、といった姿勢が礼賛され

がちですが、それは限定的に集中してやるものであって、

恒常的に発揮するものではありません。

 

もちろんそういった姿勢は尊いですが、それを常態にしたら

疲弊してしまうし、いつもできるならそれは通常の能力、と

いうことにもなります。

 

よく診察で「適度に手抜きしてね。」なんて声掛けしますが、

それは上記のようにいつも全力でいる弊害が見て取れるから

です。いつも頑張ってると、いざという時に頑張れないし、

それは既に副腎疲労状態なんですよ。自分は手を抜きたくても

自分以外やる人が居ない、なんてシーンもありますが、それは

もう環境改善しないといけないレベル、ということです。

そんなん、自分の一存では決められないから…と言ってまた

頑張り続ける。こういうパターン、意外と多いのです。(^ ^;)

 

副腎疲労も栄養療法の守備範囲ではありますが、頑張り過ぎ

の人に不足栄養素を足すともっと頑張っちゃったりするので

結構要注意なんです。当然根本治療になっていませんから、

いずれ効果も頭打ちになりますし。だからこその「手抜き」の

提案なんです。いつもは6〜8割の力で仕事をする、もしくは

そうできるように準備しておく、というのは立派な副腎疲労の

治療です。副腎疲労傾向の方に真面目な人が多いのは、実は

「手抜き」できないから、とも言えるのです。

 

日本人の勤勉さや忠実さは世界に誇れるレベルだと思うし、

大切にするべきですが、それを発揮するのは身体です。不調に

なれば勤勉さも忠実さも実現できませんよね。責任を放棄

せよ、というわけではなく、責任を全うするにはどう立ち

回るのが賢いか考えようぜ、ってことです。

 

結構思い当たる節のある方、いますよね?!頑張りすぎての

休職・退職はもったいないです。上手に手抜きしてゆとりを

持って働きましょう!

2021年1月28日 木曜日

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乾燥は脱水の始まり

え?乾燥も脱水も同じじゃね?と思われたかも知れませんが

今回取り上げたいのは “乾燥肌” です。特に女性はお困りの方

が多いのではないでしょうか。

 

肌が乾燥するということは、皮膚の水分が足りないという

ことですが、ではなぜ水分が足りなくなるかというと皮脂が

不足するからです。皮脂は皮膚から分泌される脂質ですが

ここでは表皮内のセラミドも皮脂と捉えてください。

 

皮脂がしっかり出ることで皮膚常在菌が生育し、結果として

他の菌が定着しにくくなっています。僕はクリーム剤の使用

はお勧めしていませんが、これはクリームが皮脂を溶かして

しまうからです。これにより却ってバリア機能が低下する

わけです。

 

さて、皮膚はバリアであるのと同時に、皮脂により皮下の

水分を蒸発しにくくする機能もあります。脂質の膜があれば

水は漏れにくいですよね。ということは、皮脂不足により

乾燥肌になればそれだけ体内から水分が失われ易い、って

ことです。

 

冬場はそもそも水分摂取量が落ちますが、乾燥肌があれば

水分ロスが増えるため、実は脱水になり易いのです。脱水に

なると血液循環を維持しようとして血圧が上昇することも

あります。寒いと血管が収縮し血圧は上昇しますが、これに

脱水が合併するとより悪化するんです。

 

治療はコレステロールを含む脂質代謝の改善が根本ではあり

ますが、オンシーズンはひとまずワセリン塗布が手っ取り

早いです。かゆみがある場合はその上からエアウォールなど

のフィルム剤を貼付すると良いでしょう。自分の周りだけ

窓ガラスが曇りやすかったら、それは水分蒸発してる証拠

かも?!

2021年1月25日 月曜日

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ハイドロリリースの活かし方

「痛み止めの注射をしてくれ!」あるいは、「痛み止めの

注射みたいな対症療法は嫌だ!」と、いわゆる鎮痛剤を

使用した注射療法は以前から賛否両論でした。これは注射

そのものに対する評価ではなく、あくまで鎮痛剤に対する

ものです。なので、実は内服でも外用でも同様なんですが、

こと注射に至っては両極端に捉えられることがしばしばです。

 

さて、そんな注射とは根本的に違うのがハイドロリリース

(Hydro Release;HR)と呼ばれる注射療法です。何せ鎮痛剤

を使用しませんから。(笑) 実際にはごく少量用いますが、

ほとんどが生理食塩水です。生理食塩水に鎮痛効果なんて

無いので、HRの理屈は薬剤によるものではありません。

 

筋肉は筋膜で包まれ房状になっています。その隙間を血管

や神経が通ります。ミカンで例えると分かり易いでしょうか。

ミカンの果肉部分が筋肉で、ミカン1粒ずつを覆っている

のが筋膜です。筋肉は本来それぞれが独立して動きますが、

筋膜同士が密着したり癒着したりするとその動きは阻害

されます。これがコリや痛みの原因になり得るのです。

 

HRでは、生理食塩水を筋肉と筋肉の間、つまり筋膜間に

注入することにより筋肉の独立可動性を高めるのが主たる

治療理論です。またそれに伴って、圧迫・牽引されていた

血管や神経が解放されるので痛みしびれも改善するわけです。

筋肉と筋肉の境界は外から見ても分からないので、超音波

エコーを用いて内部を観察し、リアルタイムに画像を

見ながら針を進め良きところで注入します。これによって

誤穿刺を防ぐことができるのもメリットと言えるでしょう。

ミカンの皮をむかずに1粒ずつバラけさせる、みたいな

手技です。

 

筋膜の癒着が主病態だった場合は、注射直後に改善を見る

こともありますが、あくまでも痛み止めではなく筋肉の動き

を改善させる治療法なので、再度癒着が起これば繰り返し

注射が必要になります。なので、HR後はなるべくストレッチ

などの運動を併用するのがオススメです。また何度やっても

改善がない場合は即ち筋膜間の問題ではない可能性を示唆

するわけで、診断的な利用価値もあります。

 

注射って怖いイメージがあると思いますが、こういう新しい

理屈を用いた進化もしてるんです。少しハードル下がった

かな?!我々には超音波装置を購入するという高いハードル

がありますが。(笑)

2021年1月21日 木曜日

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