人体の様々な活動に必要な栄養素の過不足を評価して治療に
繋げる、というのが栄養療法の定義ですが、食事が基本とは
言え、症状改善にはサプリメントが必要になることも多いです。
不足している栄養素の中でも優先度の高いものをサプリメント
で補うことになりますが、それぞれの栄養素の効果効能を知ると、
どれもが重要に思えてきて(^ ^;)結果的にたくさんの種類の
サプリメントを摂取することになる、なんてことがしばしば
あります。
治療に積極的であるがゆえではあるのですが、やはり分析を
後回しにしてはいけません。マルチビタミンやマルチミネラル
のサプリメントは一度に多くの種類の栄養素が摂取できると
いうメリットがある反面、どの栄養素が効果的だったかが
分かりにくくなるデメリットがあります。分析をせず、効果
効能だけを頼りにいきなりマルチサプリを摂取するのは診断が
狂うのでお勧めしていません。良かれと思ってしばらく飲んだ
後に検査してみてたら却って過剰になっていた、なんて例も
ありますしね。
では、マルチサプリはどんな場面で使うのが良いのでしょう。
僕は大きく2つ想定しています。一つは食事やサプリメントで
症状やデータが改善してきて、サプリメントを減量できそう
な時。マルチサプリメントは多くの種類が配合されている反面
それぞれの配合量はそれほど多くないのが普通です。症状改善
を維持しつつ減量する際には適したツールとなります。
もう一つはコストを抑えたい時。データ上、様々な不足があり
症状改善を急ぐ場合にはどうしても多くの種類のサプリメント
が推奨されます。ただ継続できなければあまり意味が無いので
何とかトータルコストを抑えるためにマルチを使用します。
ベストな選択ではないですが、コストも治療継続の重要な因子
なので有意義だと考えます。
逆に言えば、これら以外の場面でマルチを使うことはほぼあり
ません。多くの栄養素が不足しているということは、吸収に
問題がある、つまり腸内環境改善を優先にすべき、とも言え
ますし、栄養素を激しく消費するか代謝を阻害する要因があれ
ばそれを除去することが先です。
どうしても栄養療法=サプリメント摂取と思われがちですが、
サプリメントは栄養素が不足している際に食事の代替として
使用するツールでしかありません。中でもマルチは便利ですが
論理的な治療から逸脱してしまう恐れもあるので、使用には
慎重になるべきです。