院長室

« 2月 2024 11月 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30

マルチサプリの使い方

人体の様々な活動に必要な栄養素の過不足を評価して治療に

繋げる、というのが栄養療法の定義ですが、食事が基本とは

言え、症状改善にはサプリメントが必要になることも多いです。

 

不足している栄養素の中でも優先度の高いものをサプリメント

で補うことになりますが、それぞれの栄養素の効果効能を知ると、

どれもが重要に思えてきて(^ ^;)結果的にたくさんの種類の

サプリメントを摂取することになる、なんてことがしばしば

あります。

 

治療に積極的であるがゆえではあるのですが、やはり分析を

後回しにしてはいけません。マルチビタミンやマルチミネラル

のサプリメントは一度に多くの種類の栄養素が摂取できると

いうメリットがある反面、どの栄養素が効果的だったかが

分かりにくくなるデメリットがあります。分析をせず、効果

効能だけを頼りにいきなりマルチサプリを摂取するのは診断が

狂うのでお勧めしていません。良かれと思ってしばらく飲んだ

後に検査してみてたら却って過剰になっていた、なんて例も

ありますしね。

 

では、マルチサプリはどんな場面で使うのが良いのでしょう。

僕は大きく2つ想定しています。一つは食事やサプリメントで

症状やデータが改善してきて、サプリメントを減量できそう

な時。マルチサプリメントは多くの種類が配合されている反面

それぞれの配合量はそれほど多くないのが普通です。症状改善

を維持しつつ減量する際には適したツールとなります。

 

もう一つはコストを抑えたい時。データ上、様々な不足があり

症状改善を急ぐ場合にはどうしても多くの種類のサプリメント

が推奨されます。ただ継続できなければあまり意味が無いので

何とかトータルコストを抑えるためにマルチを使用します。

ベストな選択ではないですが、コストも治療継続の重要な因子

なので有意義だと考えます。

 

逆に言えば、これら以外の場面でマルチを使うことはほぼあり

ません。多くの栄養素が不足しているということは、吸収に

問題がある、つまり腸内環境改善を優先にすべき、とも言え

ますし、栄養素を激しく消費するか代謝を阻害する要因があれ

ばそれを除去することが先です。

 

どうしても栄養療法=サプリメント摂取と思われがちですが、

サプリメントは栄養素が不足している際に食事の代替として

使用するツールでしかありません。中でもマルチは便利ですが

論理的な治療から逸脱してしまう恐れもあるので、使用には

慎重になるべきです。

2021年1月18日 月曜日

カテゴリー 院長室

タグ

コロナにビタミンC?

新型コロナウィルス感染症の怖さを語る時に、「ワクチンも

薬もないから!」という理由をしばしば耳にします。ワクチン

は接種の見通しが立ち始めましたが、薬となるとまだまだ

これからです。

 

すると、ハイリスクな基礎疾患のある高齢者を守るために若者

は外出するな、という妙なロジックで対策が打たれたりして

違和感を感じずにはいられませんが、まあ治療薬が無い不安は

理解できます。

 

そこで、ビタミンCがいいらしいぜ、なんていう情報が流れ

たりすると、こぞってビタミンCを摂り始めるわけですが、

それは正しいのでしょうか?詳細は今月の健康教室でも取り

上げますが、結論から言うと間違ってはいません。ビタミンC

が白血球の働きに関与するからです。

 

しかしながらビタミンCは白血球以外でも消費されますし、

白血球が働くのはウィルスが身体に侵入した後のことです。

つまり予防にはそれほど向いていません。またどれくらい

の量を使用すれば良いのかも、かなり個人差があります。

白血球以外にも効果を有することを考えれば、摂らないより

摂った方が良いのは間違いないですが、感染症に絞って

考えるとそれだけでは物足りないんですね。

 

手洗いやマスクは物理的な感染防御策ですが、人体での

生理的防御策の主たる部位は粘膜です。予防という観点では、

粘膜機能を維持する栄養素がより優先度が高いと思います。

例えばビタミンDとかね。

 

ちなみにビタミンCを多く含む食材は、レモン、ブロッコリー、

パプリカで市販のタブレットやジュースはあまり効果がない

と思った方がいいです。人体で最も多くビタミンCを消費

するのは副腎なので、副腎疲労気味の方は常に需要が高い

です。こういう場合はビタミンC常用がベターでしょう。

2021年1月14日 木曜日

カテゴリー 院長室

タグ

今年はどう生きる

皆様、明けましておめでとうございます。年末年始はどのように

過ごされましたか?ダラダラするのは全く問題ないですが、まさか

糖過剰で太ったりしていないですよね?!ね?!

 

今年も初っぱなから関東の知事の皆様のパフォーマンスを契機に

ピントのずれた制限施策へと発展しそうですが、前回の制限の

効果や副作用を検証しないで行えば、今後も発令のハードルは

下がり、波が来る度に“緊急事態”に陥ることになるかも。国民も

オオカミ少年よろしく「ああ、また言ってら。」と微笑ましく

見ていられれば良いのですが、生活を直撃するわけですから、

さすがに怒りの矛先が各首長に向くでしょう。それでも票田と

なる高齢者層にウケる対策しか打ち出さなければ、結果…

 

なんていう悲観的予測ばかりじゃ寂しいので、年の初めらしく

前向きな思考で行きましょう。この国で生きる以上、憲法や法律

には従わなければいけません。某国で起こったように店や車を

破壊し、掠奪をしたって何の建設性もありません。かと言って、

黙って言う通りにしていたら、職を失い家族離散の危機に直面

する悲劇だってあり得ます。

 

残念ながら幸福になるための公式なんてものはありませんが、

それに近いのが予防なんだと思います。甚大な被害を被ってから

では遅いし、誰かを呪ったところで失ったものは取り戻せない

でしょう。ですから、色んなシナリオを想定してリスクを最小に

できる対策に知恵を絞るのが正解なんじゃないでしょうか。

 

日本の医療でも同じ事が言えます。発病したから薬物投与、

なのではなく想定される病態を回避するためには何をするべきか、

に軸足を移していくべきなのだと思います。もちろん方法は

人それぞれで幾つもあるでしょうけど、僕は食事の改善が身近

かつ簡単だと思うから栄養療法を勧めています。

 

知恵を絞るには脳機能が重要です。脳機能を高めるには糖過剰

は邪魔で、良質の脂質とビタミンB群、マグネシウムが必須

です。自分は一体どうなのか?当てはまるのなら何を食べて何

を食べないようにすればよいか?というロジックですね。

 

それをまた社会生活に置き換えてみれば、目標から逆算した

目下の “生き方” が見えてくるのではないでしょうか?悲観的な

情報しか流さないメディアとの付き合いはほどほどに、思考を

止めないでこの1年を生き抜きましょう!(^ ^)

2021年1月7日 木曜日

カテゴリー 院長室

タグ

ポジティブ締め

今日、本年の診療を終えました。色々な出来事があったけど、

コロナで消し飛んでしまいましたね。(^ ^;) 幸い日本では他国

に比べ死者も重症者も格段に少なく、経済は維持できる…はず

でしたが、過剰な防衛策が採られて結局は冷え込んでしまった

のが悔しい限りです。

 

苦境になるとこれまで見えなかった問題が明らかになることが

あります。日本で言えば、政府決定の遅さ、医療の制度疲労など

が挙げられると思います。メディアの偏向も露見しましたね。

テンパると素が見える、みたいなもんかな。(笑)

 

問題が明るみに出るということは、裏を返せば改善点が明確に

なるということで、チャンスでもあります。実際、政治や医療に

興味を持つ方は増えたでしょうし、情報の仕入れ方が変わった

人も多いと思います。「怖い」と言って閉じこもるだけでは

進歩どころか退化してしまいます。「何で怖いのか?」と自問し

それは対処可能なのかそうでないのか、できるなら何から手を

つけるべきか、という風に論理立てて思考することが結果的に

余裕をもたらし、新たな発見に繋がると思います。

 

個人的には診療で最後に何を言うか、を意識するようになり

ましたね。「〜はダメよ。」で終わるとネガティブなイメージ

に引きづられ取り組みに前向きになれない傾向を感じたので、

「〜はダメだけど、〜はOKだから。」と最後は肯定で締める

ようにしました。まあルーズになってる時は厳しく言ったり

しますけど。(^ ^;)

 

コロナ対策だって、よくよく聞けば外出や外食を禁止している

わけではないのに、あっという間にあらゆる場所が閑散として

しまいました。これも「〜は控えてください。」という締めに

影響されているのではないかと思うのです。来年以降、沈滞

したムードを変えていくためには、希望が持てる言葉、やる気

になる言葉で締めるようにするのが有効じゃないでしょうか。

我々もネガティブなワードに影響されないようにしながら。

ちなみに「頑張りましょう!」で頑張れるお人好しはいない

ので、ポジティブワードにはなりませぬ。なるべく具体的に

言う方が良いですね。(^ ^)

 

ウィルス感染は天災と言ってよいと思いますが、対策のまずさ

は人災です。実際に感染症で亡くなる方の総数は去年より減って

いるのに、自殺者は増加傾向にあります。これはコロナのせい

で済ませてよいと思いません。コロナ対策が近視眼的になって

いたせい、とは言えますが。

 

僕たちレベルでは政府の施策もメディアの姿勢も変えるのは

困難ですが、ポジティブで締めることは可能です。そしてそれで

ムードは変えられるのではないかと思います。この投稿が少し

でもポジティブな影響を与えることを願って。。。

 

本年も当院を御利用頂き誠にありがとうございました。来年も

どうぞよろしくお願い申し上げます。よいお年を!m(_ _)m

2020年12月30日 水曜日

カテゴリー 院長室

タグ

減薬、休薬

栄養療法をやっていると薬は使用しない、と思われることがあり

ますが、それは誤解です。知らないうちに “自然派ドクター” と

評されたこともありましたが(^ ^;)、普通に薬使ってます。

 

重要なのは、それが適切なのかということと、減らす手段を

持っているか、ということだと思います。薬は苦痛を取り除く

意味では素敵なものです。それが「飲まないと不安で」とか

「効果分からんけど飲んどく」となると過剰投与になる恐れ

が出てきます。薬は効果がなければ単なる異物なので、飲む

べきではありません。要はメリットとデメリットのバランスを

常に気にするってことです。

 

また仮にメリットがあったとしても、中止したら症状が元に

戻ってしまった、なんてことはしばしばあります。なので、

薬物治療と並行して薬物療法から離脱するための治療をする

のが理想となります。これが医療者側、患者側ともに蔑ろに

なると薬物一辺倒の治療となり、副作用の問題が表出するの

です。薬はそれそのものが悪いのではなく、使い方を含めた

戦略性の無さが問題なんです。

 

では減薬や休薬をスムーズに行うための治療法とは何か、僕の

場合はそれが食事指導を含めた栄養療法というわけです。

かねてから「専門家になりたくない」と言って物議を醸し…

てはいませんが(笑)、栄養療法に凝り固まって症状緩和を

疎かにすれば患者さんは無用に苦しむだけです。専門家として

道を極めるのももちろん価値がありますが、偏らず状況に

合わせて優先度の高いものを提案する、という姿勢がないと

本末転倒になってしまう恐れがあります。栄養療法だってどう

いう目的でどういう戦略で行うか、がなければ大抵は続き

ません。「専門家」の負の側面とも言えます。

 

まあそんなわけで治療法にはそれぞれに特徴が有り、長所も

短所も併せ持っています。治療のゴール設定によってもそれは

変化し得るでしょう。個人的には職人的な専門家にも憧れます

が、今は俯瞰できる戦略家でいたいと思います。

2020年12月28日 月曜日

カテゴリー 院長室

タグ