院長室

« 2月 2024 11月 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30

ココナッツオイルいいかもよ

「ココナッツオイルで認知症が治る!」と聞いたらどう思いますか?

大半の方は、何いってやがんでぇ、べらんめぇ!と自然と江戸っ子に

なってツッコむことでしょう。(そうか?)


僕も普段の診療で認知症を扱う機会がないこともあり、調べもせず

先入観だけで江戸っ子になっていました。(笑)それが、ちょっと

機会があって調べてみたところ、実はかなり説得力のある、まさに

栄養療法の範疇のお話だったのです。


我々の細胞はグルコース(=糖)を原料にエネルギーを産生して諸活動

を行っていますから、何らかの理由でグルコースの利用障害が起きれば

細胞の機能障害に繋がります。脳細胞はその最たるもので、糖を大量に

消費する臓器ですから、低血糖状態では精神症状がでやすいわけです。

ただ、糖はすぐに枯渇してしまうので、飢餓に陥らないように糖の代わり

に使えるエネルギー源があります。それがケトン体です。


ココナッツオイルに含まれる中鎖脂肪酸は体内でケトン体に変換され、

脂肪として蓄積することなく、エネルギー源として使用されます。これが

認知症の改善に繋がっているようです。完全に死滅した脳細胞はケトン体の

利用すらできませんが、低血糖にあえいでいる状態ならば速やかに回復

するというわけです。


これは認知症に限らず、低血糖状態が根底にある病態であれば全てに応用

できますから、副腎疲労なんかにも有効かも知れません。ココナッツオイル

に関する書籍は結構出ていますので、皆さんも是非試してみて下さい。

もし効果があったら、こっそり教えてくださいね。(笑)

2014年9月1日 月曜日

カテゴリー 院長室

タグ

燃えてよドラゴンズ

ふぬぬぬ。現状、クライマックスシリーズもかなり危うい状態の

我がドラゴンズです。正念場となったタイガースとジャイアンツの

6連戦でまさかの1勝5敗。ここで選手達も気が抜けてしまった

かのようです。


ドラゴンズに限らず、故障者の多さが目立つ気がします。和田など

の骨折は事故だから仕方ないとしても、靱帯損傷や肉離れなどの

いわゆる軟部組織損傷が多い。松阪やダルビッシュもそうですよね。

悔しさをぶつける場所がないので(笑)、この軟部組織損傷を

栄養学的に評価してみましょう。


靱帯や腱などのしなやかさが要求される組織にはコラーゲンが豊富

です。コラーゲンのおかげで弾力が維持できるわけです。となると

軟部組織損傷の一因にコラーゲン不足があるかも知れません。食事

からコラーゲンを補給してもそのままでは吸収されないので、体内で

合成ができているか、が問題になりますがコラーゲン不足を確かめる

方法はなかなかありません。ただコラーゲンの合成には鉄とビタミン

Cが必須なので、鉄不足やビタミンC不足が疑われれば、すなわち

コラーゲン合成障害があると見なせます。


鉄不足はフェリチン値やMCVという項目から類推できますし、

酸化ストレスに関連する項目に上昇があればビタミンCの不足が

疑わしいです。


さらに運動後には炎症が残りますから、この炎症を早く治められるか、

も軟部組織損傷の発症を左右する重要な因子になるでしょう。炎症を

左右するのは脂肪です。特に、多価不飽和脂肪酸という脂肪の中でも

オメガ3系の脂肪酸が炎症を抑える作用があります。その代表がEPA

です。青魚の油ですね。EPAの充足状態も調べるのは難しいの

ですが、そもそも足りている人はいないようです。


ということで、ドラゴンズの選手には赤身の肉と青魚にレモンを

大量にかけて食べて頂きたい!誰か差し入れて頂きたい!(笑)

2014年8月28日 木曜日

カテゴリー 院長室

タグ

できればピロリ検索を

最近メディアでも取り上げられる機会が増えたピロリ菌ですが、

胃癌や胃潰瘍の原因になること、そして日本人の感染率が高い

ことが背景にあります。一般に中高年に多いですが、家族内で

感染することもあるので、若年者でも感染者はいます。


さて、このピロリ菌。胃癌や胃潰瘍の原因になるからコワイの

ですが、栄養療法を行う上でも大きな影響が出てしまいます。

ピロリ菌は、本来なら生物が死滅するほどに強烈な胃酸をうまく

中和して胃に棲みつきます。ですから、ピロリ菌感染者はすべか

らく胃酸の能力が低下しています。


胃の低酸状態ではまずタンパク質の分解能が落ちます。タンパク質

は分解されてからしか吸収されませんので、当然タンパク不足を

引き起こします。また分解できないので、すぐにお腹が張ったり、

便通異常が出たりします。さらに始末の悪いことに、分解されない

食材が抗原となってアレルギーの原因になってしまうのです。IgG

アレルギー検査で陽性の方はピロリ菌要注意です。


胃の低酸で困るのがもう一つ。口から入ってくる雑菌を完全に殺せ

なくなるので、腸内細菌のバランスが崩れます。これは食事の消化

吸収に影響が出るだけではなく、アレルギーの原因にもなりますし、

鉄不足の原因にもなります。ですからピロリ菌の存在下ではサプリ

メントも吸収効率が落ちるわけですね。恐るべし、ピロリ菌。


胃カメラができるクリニックなら保険で検査できますから、上記で

思い当たる方は是非検査を。僕は胃カメラができないのでウチで

検査する場合は自費の血液検査になります。(4000円)

ちなみにピロリ菌がいなくても低酸状態であれば同じ病態が起き

得ますよね。逆流性食道炎の診断なんかで、漫然と胃酸を抑える薬を

飲んでいる人、いませんか?

2014年8月25日 月曜日

カテゴリー 院長室

タグ

熱中症にも漢方薬?

これもこの時期たまに質問されるのですが、YesともNoとも言える

というか…。なぜこうどっちつかずの態度になってしまうかと言うと、

そもそも漢方薬は西洋医学的診断名に対応していないからです。


熱中症と言っても直ちに救急処置が必要な場合もあれば、少し食欲が

低下しているだけの場合もあります。救急処置が必要な場合には

漢方薬の登場する余地はありませんから、上記の答えはNoとなります。

食欲が低下している時に使う漢方薬は数々あるので、こちらであれば

答えはYesとなるわけです。この場合も決して「熱中症」に対して処方

しているわけではなく、あくまで「食欲低下」に対して処方している

だけです。


とは言え、熱中症に頻用される漢方薬があるのも事実です。例えば

清暑益気湯(セイショエッキトウ)という薬は有名で、この時期発注が重なって

在庫薄になることも。(^ ^;)では熱中症のどんな状態に使用するかと

言うと、胃腸症状がメインの場合です。この薬は四君子湯(シクンシトウ)

という食欲を出させる薬がベースになっているので、暑さで食欲低下

している人が適応です。四君子湯に熱をさます生薬や汗を止める生薬が

加わっているので熱中症向け、ということになっているのです。


では食欲低下がない比較的急性の熱中症はどうでしょうか。そんな時は

頭がのぼせて口がカラカラになりますよね。ならば熱を冷ましながら体を

潤せばよいので、そういう効能のある生薬を含む薬が適応になるわけです。

具体的には白虎加人参湯(ビャッコカニンジントウ)という薬がちょうどよいですね。


熱中症に限らず、診断名ではなく「どういう状態なのか」が漢方薬を選ぶ

上ではとても重要です。そしてその状態を的確に診断できるかが医療者側

のウデということになります。

2014年8月21日 木曜日

カテゴリー 院長室

タグ

熱中症のサイン

暑さのピークは過ぎた…のか?ホント?と言うくらい今日は

暑かったですが、やはりまだまだ熱中症の対策は必要です。

熱中症というと、意識を失って搬送されたり、そのまま死亡

してしまったりと、コワイ病気という印象があるのではない

でしょうか?報道で啓蒙してくれるのはよいのですが、コワイ

側面だけを伝えると、逆に軽症を見逃す危険があります。


とは言ってもベースは脱水とミネラル不足ですので、予防と

治療はそれら補給することです。特に難しいことではありません。

ではなぜ、これだけ多くの方が搬送されたり亡くなっている

のかと言うと、脱水に気付かないケースが多いからです。通常

脱水があれば、ノドが渇いたりするので対策が立てやすいの

ですが高齢になればなるほど、この口渇を感じなくなります。

なので、脱水のサインがないまま熱中症に移行してしまうのです。


なのでやはり口渇を感じる前に、できれば時間を決めて定期的に

水分と塩分の補給をすることが肝要です。トータルの量はあまり

気にせずに、特に汗をかいていなくても2時間に1回くらいは

摂取してください。


何とか熱中症に移行しないようチェックできないか、という質問

も頂くのですが、これは脈拍と便の性状が指標になります。普段

より脈が速い、便が硬い、といった状態は脱水のサインであること

があります。こういう場合も口渇がなくても水分と塩分を補給した

方が無難と言えます。

2014年8月18日 月曜日

カテゴリー 院長室

タグ