院長室

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「何者/永い言い訳」

今年の邦画はどうなってんだ、という傑作・力作が多い

ゆえの嬉しい悲鳴が関係者の間では広まっている模様、

というニュースがあるかは定かではありませんが、まさに

この2作は本年を象徴する作品だと思います。まだ今年

終わってないけど。

 

「何者」は就職活動を題材に、現実に直面し苦悩する

若者の心理を描いた作品。こう書くと、よくある話っぽい

のですが、本作はひと味もふた味も違います。確かに

途中までは仲間内での恋愛や嫉妬などを交えながら、

社会に出るという大人と子供の境界線にスポットを当てて

います。しかーし!問題はそこからね。もちろん内容は

言えません。(笑)ただ、甘酸っぱい青春もの?おじさん

そんなんキョーミないよ、と切り捨ててしまうのは大変

もったいない作品です。

 

僕は就職活動もしていないしツイッターもやらないので、

そこまで感情移入はできませんでしたが、逆にこれらを

体験している世代にはむしろホラー映画かも知れません。

主演の佐藤健さん、菅田将暉さん、有村架純さん、二階堂

ふみさん、皆さん大学生で全く違和感ないのが凄い。

さすがに山田孝之さんは無理があったが。僕の中では

彼はコメディアンなので、なんか笑えてしまう。スンマセン。

 

そして「永い言い訳」ですよ。僕と同い年の西川美和という

女性の監督さんの作品ですが、まあ、天才ですね。まずは

彼女の作品は全て脚本も彼女が手がけている点。最近は

ほとんど原作ありきの映画ばかりですが、彼女は制作の姿勢

から違うわけですよ。そしてどの作品も超ハイクオリティ。

 

特になぜか男性の深層心理を描くのに長けていて、観ている

方はずっと緊張しっぱなしです。なのでめっちゃ疲れるの

ですよ。(笑)今作は長年連れ添った妻をバスの事故で亡く

した男の話。妻に対する愛情はなく、周囲の憐憫の感情に

当惑する中、真逆の遺族男性と知り合って…というお話。

正直、これまでの西川作品の中では一番 “親切” な作りで、

やや説明セリフが多い気もしますが、それでもやはり凄い。

 

主演は本木雅弘さん。とても良い。それ以上なし。ありがとう。

そしてもう一人の主演とも言うべき主人公とは対照的な男を

竹原ピストルさん。いや、出たな、ピストル。松本人志監督

の「さや侍」で鮮烈なデビュー(?)をしたヴォーカリスト

です。今回も強烈です。ぜひ「俺のアディダス」という曲を

聴いてみてください。

 

もし観る映画に困っていたら、久しぶりに映画でも観るかなと

考えていたら、大作洋画に疲れていたら、日本人なら(ええっ)

この2作は期待を裏切りませんぜ。

2016年10月27日 木曜日

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ココナッツオイルのおさらい

もうすっかりブームも去ってしまったココナッツオイル

ですが(^ ^;)、当院での販売再開を機にその効能を

もう一度押さえておきます。

 

食材のブームは大抵痩身か美容が売り文句になりますが、

ココナッツオイルもダイエット効果があるとのことで流行

しました。ココナッツオイルの最大の特徴は中鎖脂肪酸を

多く含有することです。この中鎖脂肪酸がケトン体に変換

されるのですが、ケトン体はカロリー源になるんですね。

ですから、ココナッツオイルを摂ることで、糖以外からカロリー

産生をできるようになり、結果としてインスリンの過剰

分泌を抑え、脂肪細胞の合成を抑制できるという理屈です。

 

つまり糖質も中鎖脂肪酸も両方摂っていては痩せません。

糖質制限のお供として最適なわけで、ココナッツオイル自体

に痩身効果を期待しても肩すかしを食うでしょう。(^ ^;)

 

栄養療法の目的の一つに「燃費の良いカラダ造り」があり

ます。糖質はカロリーになりやすいですが、持続しません

ので燃費はとても悪い食材です。逆に脂肪は血糖値の変動

を招かないので空腹感が出にくく、カロリー量も多いので

燃費は良いのです。これはつまり糖質依存からの脱却の

ツールになり得るわけで、生活習慣病だけでなく、うつや

アレルギー、癌といった糖質過剰と深い関わりのある疾患の

治療になり得るわけです。

 

24℃以下で固体になるという性質があるので、これからの

季節は固まってしまいますが、その方がベタベタにならず

扱いやすかったりもします。初めはコーヒーやカレーなどの

味の強いものに入れると抵抗がないかも知れません。どう

してもココナッツの香りが苦手な方は、日清オイリオから

発売されているMCTパウダーを使うと良いでしょう。

2016年10月24日 月曜日

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診断と治療はセットで

よくテレビ番組でスーパードクターが原因不明の病気を

斬る!みたいな名医シリーズ(?)が放送されますが、

どこに行っても分からなかった病気を診断する、という

のは既に様々な検査データが揃っているわけで、視点を

変えれば診断はしやすい、とも言えます。

 

診断名がないと治療が進まない、というのは西洋医学の

悪いところだとよく言われますが、僕は必ずしもそうは

思いません。確かに難しい診断名に行き着いても特有の

治療がなければ、あまり意味はないでしょう。ただ治療

行為には必ず副作用などの負の側面があることも考慮する

必要があるわけで、ある程度その行為の根拠がなければ

それは怖い選択肢になってしまいます。

 

つまり診断は治療とセットでなければならないと言うこと。

重箱の隅をつつくような診断名を探し当てて、結局ステロイド

投与、ではなんとも寂しい訳ですが、逆にある治療法を想定

してそれが理に適うものなのかを判断するために検査して

診断を付ける、というのは必要な過程です。

 

栄養療法でも、漢方薬治療でも、何か西洋医学を否定する

立場に思われがちですが(^ ^;)、治療行為のための診断は

必ずしているので、大枠は変わりません。むしろアトピーに

効くサプリとか漢方薬、なんていう宣伝文句はアヤシイと

思った方が良いでしょう。そんな診断で処方するわけでは

ないですから。

 

また診断に迷うときに、見切り発車的に治療を行うことが

実際にはあります。でもこれはその治療が診断に結びつく

時にやる行為で、診断的治療と言います。痛いから痛み止め、

は…当然診断的治療ではないですね。

 

 

2016年10月20日 木曜日

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糖質制限のひろがり

自身も含めて治療に糖質制限を取り入れて数年経ち

ますが、意外と結構なスピードで一般にも認知されて

います。しかもブームで終わらず治療法としての議論

がされているので、これは根付くと思っています。

 

こういう傾向があるということは、当然ニーズがある

ということですが、生活習慣病の治療のため、という

よりはまだダイエット目的でのニーズの方が高い

のかな、とも感じています。

 

確かに体重は減ります。食べる順番を変えるだけでも

2kgくらいすぐに落ちることもあるので、驚きまた

感動して続けられるというのもあります。ここで気を

付けるべきは、体重に固執してはいけない、という

ことです。

 

痩せるのは嬉しいのですが、「何が」減っての体重減少

なのかを常に考えるべきです。糖質制限しながらタンパク

質まで摂取が減ってしまうと、自前の筋肉や血液を切り

崩してタンパク代謝を維持しようとするため、見かけは

体重が減っていてもそれは筋肉量の減少だった、という

ことがしばしばあります。体重しか気にしていないと、

ここに気付かず却って冷えや倦怠感などの不調を招くし、

これはまたリバウンドしやすい身体を作ることになって

しまいます。

 

なので、糖質制限はタンパク摂取とセットでなければいけ

ないし、タンパク摂取を効率よく行うためにはピロリ菌

を始めとした腸内環境の整備が必須です。またどんな程度

で糖質制限を始めるか、も重要です。糖質依存度が高い

人ほど緩やかな制限で始めた方が良いでしょう。

 

糖質制限に限ったことではないですが、食事療法は包括的

かつ段階的に行うことがとても大事です。

2016年10月17日 月曜日

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「ハドソン川の奇跡/グッドモーニングショー」

相性が悪いなどとエラソーなことを言っておきながら結局

毎回観ているクリント・イーストウッド監督の最新作

「ハドソン川の奇跡」。2009年に実際に起きた飛行機

の不時着事故を描いています。主演の機長さんをトム・ハンクス

さんが、副機長をアーロン・エッカートさんが演じています。

 

前作の「アメリカン・スナイパー」でもそうでしたが、英雄視

されている人物を英雄として描かず、苦悩や焦りといった

人間っぽい側面を描いているのが特徴です。つまりあまり

真新しさはなく、イーストウッド監督にしては前作よりさらに

親しみやすい作品になっているので若干の肩すかし感は

あります。

 

ただその巨匠査定(?)を差し引けば十分に面白く、100分

程度に納めた潔さもかなり好感が持てます。異常に引き延ばして

最後に思い切り感動させよう感のある作りは辟易しますからねぇ。

史実でしかも結果が分かっているお話をこんなにスリリングに

描けるのには驚嘆しますし、それを成し得たのはトム・ハンクス

さんの演技の賜物です。原題は「Sully」で機長の愛称。要はこの

映画は事故そのものよりも英雄扱いされた機長さんの心の動きを

追うことが本質なんですね。でもそれでは日本人には何のことだか

分からないのでベタな邦題になったようですが、これはトムさんの

演技を台無しにしてしまいかねない愚行ですな。

 

そして「踊る大捜査線」の脚本家、君塚良一さんの監督作、

「グッドモーニングショー」。「踊る〜」は劇場作第1弾が

記録的ヒットを飛ばし、第3作が史上稀に見るガッカリ作になった

ことでも有名(?)です。ドラマが抜群に面白かっただけに、

やはりテレビマンに映画は無理なんよ、なんて言われたもんです。

 

ならば!と思ったかどうかは知りませんが(笑)、テレビの、

それも朝のワイドショーの現場を題材にしたのが本作です。

もうこれは水を得た魚で、あちこちにちりばめられるトリビア

に「ひるおび!」好きの僕も唸りました。「へぇ〜」ボタンが

あったら連打してますね。

 

で、このリアリティさのおかげでちょっと現実離れした展開も

なんか意外とすんなり受け入れられたりします。主演の中井貴一

さんは相変わらず芸達者だし、犯人役の濱田岳さんもやはり上手い。

その他、吉田羊さん、時任三郎さん、志田未来さんなど皆さん

お上手でした。ドラマ臭は抜けませんが、上記のことがあるので、

狙った演出とも取れます。

 

2作とも飛び抜けた傑作とまでは言えませんが、安定した面白さ。

これもまた娯楽としては大事な要素でしょう。なんせ月末には

恐らくまたメンタルを削るであろう西川美和作品が待ってます

からな。体調を整えねば。(笑)

2016年10月13日 木曜日

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