患者さんにとっても我々医療者にとっても「体質」と言う言葉は
非常に便利です。「風邪を引きやすい体質だから」とか「痛みが
取れづらい体質だから」みたいな逃げ道になり得るからです。
近年、遺伝子解析技術が進み一般レベルでも検査ができるように
なりました。調べてみると確かに「乳癌になりやすい遺伝子」や
「ビタミンBを利用しにくい遺伝子」などがあることが分かり、
例えば他人よりもビタミンB群を多く使用しなければならない
体質、というのはあります。
ただこれも検査をしたから導かれる回答であって、治らないなら
体質のせい、と短絡的に決めるのとは意味が違います。患者さんが
弱気になって言うのは仕方がないことですが、我々が特に根拠も
なく体質のせいにするのは誠実さに欠けるかな、と思うわけです。
栄養療法では深い視点で通常では見落とされる病態を拾い上げる
ことができます。僕はここが一番の魅力だと思っていますが、
もしそこに問題があるのであれば、体質ではなく生活習慣かもよ?
と言えるわけですから、治療に希望が待てますよね。多くは
食生活に起因するので、治療提案が受け入れられるかは別問題
ですが。(^ ^;)
かく言う僕も栄養療法を知る前はひどい食事パターンだったので
患者さんの気持ちも分かります。僕は「治す側」だったのでより
真剣に取り組めただけかも知れません。ただ自身が患者経験あり、
というのも栄養療法の特徴です。僕だけでなく、栄養療法実践Dr.
の多くは自身も治療経験があるものです。栄養療法を通じて、
“共感できる体質”になったかも。(笑)