「関節に水が溜まる」現象は膝に多いですが、肘や肩、足首に起こる
こともあります。この水はどこから来るのかと言うと、ほとんどは
その部位の炎症による浸出液です。キズが治る時にジュクジュクする
のと同じで炎症には水が付きものなんですね。
水が溜まると注射で抜くことが多いですが、これは対症療法です。
水が溜まると関節の動きが抑制されて日常生活動作に影響が出ますし、
水を抜くついでに薬を注入することもできるので、まず選択される
治療法です。また水が実は血液だったり、濁っていたりすれば治療
方針が変わることもあるので、診断的な意義もあります。
それで日常生活が改善し、症状も無くなればもちろん終了です。対症
療法が根治療法にもなったと言うことですから、注射を最初から嫌う
必要はありません。問題は、症状が取れない、あるいは繰り返す場合
です。これはさらに原因を探る必要が出てきます。
例えば関節内に異物がある場合。軟骨がはがれて関節内にあると、
これが異物と認識され炎症反応が起こるため何度も水が溜まります。
こういう場合よく「水を抜くとクセになる」と言われてしまいますが、
そうではありません。またリウマチなどの常に過剰な炎症が起きて
いる病態では、炎症コントロールが悪くなればやはり繰り返して
しまいます。
そしてあまり眼が向けられないのが「水が溜まる関節以外の問題」
です。関節は隣り合った関節、あるいはさらに離れた関節からの影響を
大きく受けます。すると例えば足が悪いせいで膝に水が溜まったり、
過剰な手作業のせいで肩に水が溜まったりすることもあるのです。
この場合は当然そちらの治療をしなければ繰り返すことになります。
一つの現象でも様々な原因があり得ますので、少なくとも治療に
対して不変であったり、再発を繰り返す場合は視点や発想を変えねば
なりません。まあ全てに言えることかも知れませんが。