更年期という言葉は青年期、壮年期のような年代による区分ですが、
男性に比較して女性では特有の症状が出やすいため、「更年期症候群」
として治療をすることが多いです。かなり個人差があるので、一概に
治療法を述べることはできませんが、一般論として対症的、根治的、
に分けて考えてみましょう。
女性の更年期では急激なホルモン減少が不調の原因なので対症的には
ホルモンを補充することが先決と思われがちですが、保険で使用する
ホルモン剤は「女性ホルモンのように振る舞うもの」なのであくまで
擬似的ホルモンです。これによる副作用も散見されるので、むしろ
プラセンタ注射の方が良いと思います。プラセンタはホルモン剤では
なく肝臓の薬ですが、意外と効果があります。効果が長持ちしない
のが難点です。
漢方薬も良いでしょう。これも「更年期症候群の漢方薬」があるわけ
ではなく、あくまで表出している症状に合わせて処方されますので、
使用薬剤は千差万別です。そのため、個人ごとの対処ができ治療精度が
増すことが強みです。当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)や加味逍遙散(カミショウヨウサン)
が有名ですが、当然効能は全く違いますので盲目的に使用するのは
避けたいです。
では根治的な対処とは何でしょう。急激なホルモン減少で何が起こる
かと言うとそれは血液中のカルシウム(Ca)とマグネシウム(Mg)の
アンバランスです。Ca>Mgの変化が大きいほど不調が出ます。つまり
この差を是正することが根治に近い、と言うことになります。
過剰なCa摂取を避け、Mgをしっかり補充すれば良いわけで、具体的
には乳製品を避け、天然塩や海藻類を多めに摂ることが基本です。大豆
イソフラボンはホルモン様効果が望めますので豆乳はOKです。できれば
無調整のもので。Mg摂取は熱中症の対処法が参考になりますね。
そして忘れてはいけないのが、更年期症候群と似た症状を呈する疾患
の鑑別です。その代表が甲状腺疾患です。これは血液検査で容易に
分かりますし、甲状腺疾患だった場合は治療方針も変わってしまうので、
治療開始のタイミングでやっておくべきです。忙しい夏休みがやっと
終わり(^ ^;)少し自分の時間が作れるようになったら自身のケアも
してあげてくださいね。