…って言うと大袈裟ですが、飲み薬でもシップでも軟膏でも
痛み止めと言われる薬剤の正式名称は消炎鎮痛剤です。消炎
というのは炎症を抑えるという意味です。
ということは炎症のせいで痛い状態を改善するための薬と
なりますから、痛みの万能薬ではありません。炎症という
のは疼痛、発赤、腫脹、熱感を四主徴とする病態ですから、
「赤く腫れて熱を持って痛い」状態です。
例えば捻挫や骨折などの外傷では上記のような状態になるので、
痛み止めは積極的に使うべきです。内科的にも蜂窩織炎という
細菌感染症や痛風発作などでも同様に消炎鎮痛薬が必要と
なることが多いです。
逆に言うとそれ以外は本来適応外、ということなんですね。
これから徐々に冷えの季節になって行きますが、冷えると
肩こりや腰痛が悪くなる方は結構います。冷えで悪化して
いるのに消炎=冷やす薬を使えば却って悪化する可能性だって
あります。
残念ながら温湿布であっても消炎剤を使用している以上は
冷やす薬であると認識すべきです。するとカイロなど直接
温める効果があるものの方が理に適っていることになりますし、
内服薬ならば温める作用のある漢方薬の方がいいです。もちろん
冷え以外の原因で痛みがある場合も全く同じ考え方です。
炎症所見の乏しい痛みに痛み止めは適応外です。
痛み止めの外用剤が医療費を圧迫している事実もあるので、
医療サイドも患者サイドも「とりあえずシップ」とか「痛み
止めでお茶を濁す」(^ ^;)診療とかは避けていかねばなり
ませんね。