梅雨入りかと思ったら台風発生?!って今年も “想定外” の天災が
起きないか心配になりますね。そして急激な気圧変動が体調に大きく
影響する場合があります。
天気が悪くなる前に古傷が痛んだり頭痛がしたりして「自分の痛みは
天気予報より正確」なんておっしゃる方がみえますが、これは迷信
ではなくて、科学的に説明できるようになってきました。関節内には
気圧を感知するセンサーがあり、それが多い人は気圧変動に非常に
敏感になるというのです。
でも気圧変動で出る症状って痛みだけではないですよね。めまいが出る
人もいますし、嘔気が出る人もいるし、単に気分がふさぐ人もいます。
これらは関節とは無関係ですから、別の病態があると考えるのが
スマートです。そこで有用なのが「水毒」という概念です。これは
漢方医学用語ですが、簡単に言うと「水分の偏在状態」です。
ヒトの体はほとんどが水分ですが、通常は水風船のように均一に存在
するはずの水分が何らかの原因で過多の部位と過少の部位がある、
ということです。水分はそのまま圧力に関係しますから、水分過多の
部分では常に圧が高いことになります。
この水毒状態で気圧変動を受けると、そうでない方に比べ大きく
自覚症状を感じてしまいます。特に脳はもともと髄液という水の
中に浮いていますから、水毒の方はそもそも脳に影響が出やすい
わけです。水毒の原因は一つではないので割愛しますが、水毒を
治すことを利水といいます。そして利水を得意とする薬を利水剤と
呼びます。
その代表選手が五苓散(ゴレイサン)です。めまいや頭痛の薬として
有名ですが、利水剤ですからあくまで水毒から来る場合に効果を発揮
します。西洋医学にはない概念なので、この時期は頻用します。
ちなみに利尿と利水は違います。利水剤を飲むと尿が増える場合が
あるので勘違いされがちですが、水毒状態が改善されると尿量は
戻ります。漢方薬の中では飲み易い部類の薬ですので、気圧変動に
関係する症状にお困りの方は一度試してみる価値があると思います。