ここ最近ぐっと寒くなってきたのに比例してか、急性の痛みの患者さんが増えて
います。冷えると血流が悪化して筋肉がこわばるので、この季節、実は痛みは
悪化することが多いのです。
もちろん痛み止めを使って悪いわけではありませんが、痛み止めはあくまで炎症
を抑える薬ですので、血流を改善する効果は期待できません。上記のような血流
悪化による痛みの場合は基本的には血流改善薬を軸に痛み止めは頓服使用がベター
でしょう。西洋薬で言う血流改善薬の正体は抗血小板薬(血を固まらなくする)
であったり血管拡張剤(血管を広げる)であったりするので、実際には血流を
良くするわけではありません。ここを補完できるのが漢方薬です。
特に桂枝茯苓丸という薬は、更年期症候群に使用することで有名ですが、本質は
血流改善です。何を隠そうウチで最も処方量が多いのはこの薬なんですね。やはり
西洋薬にない作用をするところがその理由だと思います。ですから、臨床の現場では
桂枝茯苓丸3回服用を軸に、痛みが強い時には痛み止めを使用、冷えが強い時には
血管拡張剤を併用、なんて使い方をするんですね。外傷にも効果的なので本当に
重宝する薬です。
桂枝茯苓丸は予防的使用もできるのでとても良いのですが、自分でできるセルフケア
としてはマッサージが非常に有効です。物理的に揉んで血流を良くするわけですね。
ただし、マッサージにはコツがあります。絶対に強く押さないこと。強く押すと
気持ちよくて「効く〜!」となりますが、これは錯覚です。一瞬血流が途絶えて、
それが再開通するときに気持ちよくなるだけのことです。これはむしろ緊張を高める
ので、あまりオススメはできません。ほとんど感じなくらいの力で優しくゆっくり
行うのが良いでしょう。soft & slowly です。(ちょっと英語使ってみたかっただけ)
マッサージする部位は症状によってそれぞれですが、頭痛、肩こりには僧帽筋、
足の冷えやむくみには腓腹筋がいいですね。ちょっと調べればマッサージの部位は
すぐに分かりますから、そこ是非soft & slowlyで(しつこい)揉んでみてください!