院長室

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ハイドロリリースの活かし方

「痛み止めの注射をしてくれ!」あるいは、「痛み止めの

注射みたいな対症療法は嫌だ!」と、いわゆる鎮痛剤を

使用した注射療法は以前から賛否両論でした。これは注射

そのものに対する評価ではなく、あくまで鎮痛剤に対する

ものです。なので、実は内服でも外用でも同様なんですが、

こと注射に至っては両極端に捉えられることがしばしばです。

 

さて、そんな注射とは根本的に違うのがハイドロリリース

(Hydro Release;HR)と呼ばれる注射療法です。何せ鎮痛剤

を使用しませんから。(笑) 実際にはごく少量用いますが、

ほとんどが生理食塩水です。生理食塩水に鎮痛効果なんて

無いので、HRの理屈は薬剤によるものではありません。

 

筋肉は筋膜で包まれ房状になっています。その隙間を血管

や神経が通ります。ミカンで例えると分かり易いでしょうか。

ミカンの果肉部分が筋肉で、ミカン1粒ずつを覆っている

のが筋膜です。筋肉は本来それぞれが独立して動きますが、

筋膜同士が密着したり癒着したりするとその動きは阻害

されます。これがコリや痛みの原因になり得るのです。

 

HRでは、生理食塩水を筋肉と筋肉の間、つまり筋膜間に

注入することにより筋肉の独立可動性を高めるのが主たる

治療理論です。またそれに伴って、圧迫・牽引されていた

血管や神経が解放されるので痛みしびれも改善するわけです。

筋肉と筋肉の境界は外から見ても分からないので、超音波

エコーを用いて内部を観察し、リアルタイムに画像を

見ながら針を進め良きところで注入します。これによって

誤穿刺を防ぐことができるのもメリットと言えるでしょう。

ミカンの皮をむかずに1粒ずつバラけさせる、みたいな

手技です。

 

筋膜の癒着が主病態だった場合は、注射直後に改善を見る

こともありますが、あくまでも痛み止めではなく筋肉の動き

を改善させる治療法なので、再度癒着が起これば繰り返し

注射が必要になります。なので、HR後はなるべくストレッチ

などの運動を併用するのがオススメです。また何度やっても

改善がない場合は即ち筋膜間の問題ではない可能性を示唆

するわけで、診断的な利用価値もあります。

 

注射って怖いイメージがあると思いますが、こういう新しい

理屈を用いた進化もしてるんです。少しハードル下がった

かな?!我々には超音波装置を購入するという高いハードル

がありますが。(笑)

2021年1月21日 木曜日

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