ステロイド剤、という名称は何となく耳にしたことがある、もしくは
実際に使用したことがある、いや現在進行形でお世話になっている、
と様々でしょうけど結構浸透しているものと思います。
例えばアトピー性皮膚炎の塗り薬、喘息発作時の吸入薬、リウマチ
などの炎症コントロールに使う内服薬、とほぼ全科に亘り使用されて
います。時に生命の危機を救う効果があるので、西洋医学的には
無くてはならない薬であることに異論はありません。
ステロイド剤の本名(?)は「合成副腎皮質ホルモン剤」で、我々
が自身の副腎で合成可能なホルモンの代替品です。つまりステロイド
がよく効く、ということは即ち副腎が弱っている、ということでも
あるわけですね。ステロイドを使用し続ければ自身の合成能力が低下
することがあるので注意が必要なのです。
ではステロイドは危険だからダメなのか、いやいや症状緩和に有効
だから使うべきなのか、という是非論は無意味です。上記のような
効果を利用しないのは勿体ないので、副作用に気を付けて使えば
いいだけの話です。
その前提で、重要なのは「減らす手段を持っているか?」ということ
です。それがないから是非論に陥る、といっても過言ではないかも
知れません。医療者側からすればステロイドを使う代わりに並行して
それ以外の方法を提案できるか、ということです。
ウチの場合はそれが漢方薬だったり、食事指導だったりするわけ
ですが、何かしら別アプローチがなければやはり持続使用による
副作用のリスクが上がります。治療はすべからく「ツール」ですから
その長所短所を知って使わないとしっぺ返しを食うんですな。
ステロイドで言えば「幅広く使え速効性もあるが、長期使用に
向いていない」という性格です。「チョー効く薬」「なんかヤベー薬」
という認識ではいけませぬ。