病名の最後に「〜炎」と付くことって多いですよね。胃腸炎や気管支炎、
関節炎に皮膚炎、脳炎、歯肉炎などなどいくらでもあります。これらは
それぞれの臓器の炎症、という意味なのですが炎症ってそもそも何?
炎症はその名の通り、燃え上がるような状態で症状としては発赤、熱感、
腫脹、疼痛が主です。インフルエンザに罹患した時なんかは猛烈に炎症
を起こしているわけです。炎症症状はしんどいですが、人体にとっては
治癒過程に必要な現象でもあるので、過剰に炎症が起きている時は薬剤の
助けを要するものの絶対悪ではありません。治まってしまえば終了です。
問題となるのは炎症が持続してしまうことなんです。そもそも我々の
身体には炎症を助長するシステムと抑制するシステムが備わっており、
必要に応じて使い分けています。炎症が持続するということは常に
抑制系が働く必要があることになります。
この抑制系の疲弊が新たな病態を産みます。例えば、アレルギー症状が
悪化したり、疲れやすくなったり、血圧が不安定になったり、朝起きられ
なくなったり、、、と結構多彩な症状に関連します。これを副腎疲労と
呼んだりします。全国各地でボヤが起き、消防隊が出ずっぱりになった
状態と考えると分かり易いです。消防隊が疲弊して本来の仕事がこなせ
なくなってしまうわけです。さらにボヤの後の復旧にたくさんの物資と
時間が必要になるので、様々な不調が出てしまうのです。
病名の最初に「急性」とか「慢性」とか付いていることがありますが、
この「慢性」が持続状態を表しますから「慢性○○炎」というのが
厄介な状態ということになりますね。ただこの慢性炎症の現場が不明
な場面も実は多いのです。これがさらに治療を困難にしてしまいます。
理論的には慢性炎症の現場を同定した上で、その現場の火元を消し、
復旧の強化をすれば良いわけですが、実際にここに有効な薬剤は
あまり存在しません。いわゆる抗炎症剤は「急性○○炎」向けだから
です。自身の炎症コントロールシステムを是正するのがベターです。
ここに有効なのが栄養なんですね。最近では癌や一部の認知症も慢性
炎症だと捉えられています。炎症をコントロールする栄養は今後
もっと注目されると思います。