院長室

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筋肉をつけるには

痩せること以上に難しいのが筋肉をつけることです。ビルド

アップそのものが競技の場合はさておき、通常人が健康増進

の目的で筋肉量を増加させるにはそれなりのテクニックが

必要です。

 

筋肉の原料はもちろんタンパク質です。では肉や魚、卵を

たらふく食べれば筋肉になるかというと、そう簡単ではない

のです。まずタンパク質はそのままでは吸収されないので、

一旦アミノ酸レベルまで分解されます。小腸で吸収された後、

肝臓で再度タンパク質に合成されて筋肉などのパーツになり

ます。

 

つまりまずアミノ酸まで分解できるか、腸は効率よく吸収

できるか、肝臓での再合成はスムーズか、という3つの壁

をクリアしないと効率よく筋肉にはならないんですね。

そしてもし吸収がうまく行かないと、腸内悪玉菌のエサに

なってしまい腸内環境が悪化する、というオマケ付きです。

例えば肉類を増やして便やガスが臭くなる人はうまく吸収

できていない可能性があるので、タンパク質の増量は中止

すべきです。

 

さらに、エネルギー代謝が悪い人は吸収したアミノ酸を

エネルギー合成に使用してしまうので、狙い通り筋肉に

なりません。難しいでしょう?(^ ^;) ま、そもそも疲れ

やすい人は筋トレしようなんて思わないでしょうけど。

 

対策としては、タンパク質ではなくアミノ酸のサプリメント

を使用し分解と吸収の手間を省くこと。そして再合成に

必要なビタミンB群をしっかり摂ること。エネルギー変換

効率のよいMCTオイルを摂取しアミノ酸を無駄に消費しない

こと、が挙げられます。ちなみにBCAA(分枝鎖アミノ酸)

は筋肉に多く含まれるためトレーニングの際に愛用されがち

ですが、他のアミノ酸の吸収阻害に繋がる可能性が指摘

されているので単独での使用はあまりお勧めしていません。

 

裏を返すと、タンパク質代謝の向上はエネルギー代謝や

腸内環境の改善なくしては成し得ない、ということです。

筋肉が効率よく増え始めたら、栄養療法のゴール付近に

いる、という見方もできるわけです。

2021年3月11日 木曜日

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運動が先?食事が先?

「巣ごもり生活で運動不足になって太っちゃってさー」って

耳にすることがありますが、さてコレ本当?

 

この根底には「運動でエネルギーを消費して痩せる」という

考え方があります。だからこそ運動不足ではエネルギー消費

が減る=太る、となるわけですね。実は少し間違いがあり

ます。運動してエネルギーを消費し、そのまま何も食べなけ

れば痩せるでしょうけど、運動後に消費エネルギー以上を

摂取すれば太り得ます。

 

つまり運動だけで痩せるのは少し無理があり、やはり何を

食べるかに留意する必要があるのです。例えば、運動後に

おにぎりを食べるとか、糖質入りのスポーツドリンクを飲む

とかすればインスリンが過剰分泌し脂肪合成が亢進します。

インスリン分泌にも個人差がありますから一概に言えない

ですし、糖質が悪者というわけではないのですが、いかに

血糖変動を起こさないような食べ方をするか、はここでも

重要になるわけです。

 

なので、冒頭のセリフは「巣ごもり生活で運動不足になり

消費以上に摂取したから太っちゃってさー」が精確です。

その摂取内容が糖質なら尚更ですね。体重計の数字に

ショックを受けて (^ ^;) 急に運動しても痩せません。是非

とも食事も並行して見直してください。

 

もちろん運動に意味がない、というわけではありません。

巣ごもり生活で座位が長時間になれば、腰や首背肩周囲の

関節が硬くなり筋肉はこわばります。これらをほぐす、

という目的での運動は当然効果があります。痩身は運動

だけでは困難ですが、関節筋肉には有効です。運動は

有意義ですが、闇雲にやらず目的に合わせてメニューを

組むことがとても大事です。

2021年3月8日 月曜日

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花粉症とビタミンD

コロナウィルス関連でビタミンDが免疫に良いよ、と話題に

なりました。これまで花粉症症状とビタミンDの相関は紹介

してきましが、はて、どちらも正しいの?

 

そう、どちらも正解です。ウィルス感染症と花粉症に共通

するのは「粘膜防御」です。ウィルスも花粉も粘膜から侵入、

あるいは粘膜で感知するので粘膜の機能に大きく左右される

のです。そしてその粘膜の機能に深く関与するのがビタミンD

なんですね。

 

ビタミンD不足は血液検査で分かるので、一度は検査して

みることをお勧めします。不足していた場合はビタミンD

を多く含む食材を増やしたり、サプリメントで補助したり

しますが、そもそもビタミンDは体内で合成可能なビタミン

なんです。お、じゃあそれを後押しできればさらによい、

ってことになりますね。

 

それはその通りなんですが、ビタミンDはなんとコレステ

ロールを原料にして作られるんですよ。コレステロールは

悪役の代名詞みたいにされており (^ ^;)、低い方が健康で

あるように捉えられがちですが、低すぎれば即ちビタミンD

合成に支障が出るということです。コレステロールを下げる

薬を飲みながら花粉症の薬も飲む、ってのはある意味マッチ

ポンプなんですね。

 

さらに、副腎から分泌されるコルチゾールや性ホルモンも

コレステロールから合成されるので、ビタミンDはホルモン

と同族と見なされます。ホルモンは必要に応じて自身で

合成するのが基本なので、外から取り入れるのは慎重になる

べきです。我々が保険のビタミンD製剤を使用しないのは、

自身の合成能力を阻害する恐れがあるからなんです。

 

そしてコレステロール代謝に大きく関与するのがビタミン

B群です。そうするとビタミンD不足の改善に豚肉も有用、

となるわけです。これから気温が上がれば花粉飛散量も

増えます。栄養不足の視点からも治療ができると尚良い

ですね。

2021年3月4日 木曜日

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病名が邪魔くさい

自身の不調は何から来るのか?誰しもが気になるところです。

そこで「病名」つまり「診断名」は何なのか?という問いに

繋がるのは自然の流れではあります。

 

至極自然なのですが、これが実は少し厄介で初診の段階では

診断名が確定しないこともあるのです。しかしながら保険

診療上、全ての行為に診断名が必要なので暫定的に診断を

つけて診療を開始、継続することになるのです。そのため

後から診断を変更することもしばしばです。

 

特に漢方診療や栄養療法では独自の診断系統があり、それに

則って指導や処方をするのですが、この場合の診断名は保険

病名には含まれないので、ここでも暫定的な診断名が必要

となります。瘀血とかビタミンB不足って診断名をつけても

保険は通らぬのデス。

 

診断名を知ることで安心される場合もあるので、良い場面

もあるのですが、病態理解が無視されると治療に繋がり

にくいものです。例えば、頭痛を主訴に来院された方に

「偏頭痛ですね。」と言って鎮痛剤を処方しても、なぜ

頭痛が出るかに言及できなければ根本解決にはならない

ですよね。

 

また診断名が分かると、ネットで検索してその情報を元に

独断で治療を始めてしまう場合もあります。それで良く

なれば問題はないですが、より病態を複雑にしてしまう

こともあります。あるいはネットの情報で怖くなって

余計な不安を感じてしまうことも。(^ ^;)

 

診断名は重要ではありますが、暫定的な側面もあること、

必ずしも病態を説明できないこと、を知っておく方が

精神衛生上、良いかも知れません。

2021年3月1日 月曜日

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