血液検査を勧めるのに、なんで健診はしないのよ?とたまに
チクリと言われることがあります。まあ別に嫌味ではなく、
単純に疑問に感じるのだろうと思いますし、ごもっともな意見
だとも思います。
健康教室に参加頂いている方にはくどい内容だと思いますが、
これには理由がありまして。健診は国の事業ゆえ自己負担なく
行える面では大変ありがたい仕組みなのですが、だからこその
縛り事項も多いのです。特に栄養療法実践医からすると、非常
に検査項目が少ない。これで精確な診断をするのは無理があり
ます。
また健診の判定は「基準範囲」によって評価されます。基準
範囲からの逸脱が大きいほど判定は悪くなるわけですね。この
基準範囲というのが曲者で、検査会社の社員の平均値から作成
されるため、会社によってバラツキがあります。それでも
「A」判定なら間違いないやろ、と思われるかも知れませんが
それは社員さんの平均値と同じ、と言ってるだけで必ずしも
正常!と言っている訳ではないんですね。
以上2点により、健康診断の “診断” が非常に心許ない、という
ことになるのがウチが健診をしない理由です。ついでに言うと、
もしも判定が悪かった場合、「指導」をしなければいけない
のですが、これまた厚労省の推奨する食べ方でなければいけま
せん。そこでは「炭水化物6割」が理想とされていますので、
まあ相容れないわけですよ。(^ ^;)
診断の精確さが揺らげば、疾病を見逃したり薬剤の過剰投与に
繋がったりします。決して患者さんの利益になりません。そう
言う意味では栄養療法的な分析は、完璧ではないにしろ精確さ
では遥かに上です。ここが一番の売りと言っても過言ではない
でしょう。というわけで、健診の結果を見せて頂く場合はあり
ますが、こちらから健診を勧めることはありません。
ただ、乳癌や子宮癌検診、胃カメラや大腸カメラなど血液検査
以外のものは有用ですので、施行できる場合にはお勧めしてい
ます。