15年にも及ぶ辞書編纂作業にまつわるエトセトラ、な映画。辞書編纂が
そんなに大変だってことを知るだけでも「ヘーヘー」なんだけど(古い)、
全編抑えめな表現で、言い過ぎず、それでいてしっかり情熱が伝わる大変
素敵な映画でした。
原作は未読ですが、結構変更点もあるようなので原作ファンにも楽しめる
のではないでしょうか。辞書編纂を知ることは新鮮ではありますが、その
作業は極めて地味。激しく地味。それでもこの映画が飽きさせず、その上
強い感動を呼ぶのは人物描写の巧さの賜物でしょう。冴えないけど、集中力
はある主人公を松田龍平が、その恋人を宮崎あおいが、主人公とは全く反対
の性格の上司をオダギリジョーが、皆さんとても良かった。特に宮崎あおいは
登場シーンこそ少ないものの、圧倒的な存在感(とかわいさ ^ε^)で魅了
しまくりです。
監督は石井裕也氏。この監督の作品は評価は高いものの、アクが強いので僕は
あんまり相性が良くなかったのですが、今回はこれまでとガラリと変わって
上品そのもの。なんだ、どうした?と思ったら今回脚本は兼務してなかったよう
で、これが大正解だったんでしょう。分業して新たな境地に至る、と言った
ところでしょうか。これからもこのスタイルでいて欲しいです。
地味な題材をここまで面白く、感動的に仕上げた点だけをとっても今年度屈指の
作品です。ずっとこの世界を観ていたいと思わせてくれる素敵なデキですので
強くオススメしときます。(なんせ宮崎あおいがかわいい ^ム^)