カンヌ国際映画祭で主演男優賞を取った!と日本公開前から
話題だった作品です。僕は賞を取ったソン・ガンホさんが好き
なので、結構期待していました。
赤ちゃんポストに捨てられた赤ん坊を巡って、母親、ブローカー、
警察官それぞれの人生が交錯します。そう、主演は実は彼ら
全員なんです。果たしてそこから“家族の在り方”の答えは導き
出せるのか?というのが主幹となる映画です。
ただでさえ重いテーマなのに、若い母、ブローカーの2人、
彼らを追う女性警察官それぞれの人生が重層的に構成されていて
意外と難しい映画です。ただ作りは非常に繊細で、家族を描き
続けてきた是枝裕和監督のらしさが存分に発揮されています。
セリフに表れる直接的なメッセージと散りばめられた暗喩が
織りなす構成は芸術的とさえ言えるでしょう。
ただ個人的には「そして父になる」や「万引き家族」を超える
とは思えなかったかな。ちょっと優等生過ぎる、と言うか
どっちつかずと言うか監督の優しさが表出してしまってる感が
ありました。敢えてドロドロ劇にする必要はないですが(^ ^;)
重いテーマを中和する必要もないかな、と。
なかなか疲れる映画ではありますが、これから鑑賞する方は
「傘」に注目すると面白いと思います。