院長室

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「ベイビー・ブローカー」

カンヌ国際映画祭で主演男優賞を取った!と日本公開前から

話題だった作品です。僕は賞を取ったソン・ガンホさんが好き

なので、結構期待していました。

 

赤ちゃんポストに捨てられた赤ん坊を巡って、母親、ブローカー、

警察官それぞれの人生が交錯します。そう、主演は実は彼ら

全員なんです。果たしてそこから“家族の在り方”の答えは導き

出せるのか?というのが主幹となる映画です。

 

ただでさえ重いテーマなのに、若い母、ブローカーの2人、

彼らを追う女性警察官それぞれの人生が重層的に構成されていて

意外と難しい映画です。ただ作りは非常に繊細で、家族を描き

続けてきた是枝裕和監督のらしさが存分に発揮されています。

セリフに表れる直接的なメッセージと散りばめられた暗喩が

織りなす構成は芸術的とさえ言えるでしょう。

 

ただ個人的には「そして父になる」や「万引き家族」を超える

とは思えなかったかな。ちょっと優等生過ぎる、と言うか

どっちつかずと言うか監督の優しさが表出してしまってる感が

ありました。敢えてドロドロ劇にする必要はないですが(^ ^;)

重いテーマを中和する必要もないかな、と。

 

なかなか疲れる映画ではありますが、これから鑑賞する方は

「傘」に注目すると面白いと思います。

2022年7月5日 火曜日

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