院長室

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ハイドロコロイドの適応

「しみない、剥がれない、濡れても平気!薬も不要!」でおなじみ

(でもないか ^ ^;)のキズパワーパッド、随分と一般にも浸透して

いるようで、患者さんが自己処置で使う市販品の中ではかなり頻用

されている印象です。同時に、キズパワーパッドが原因と思われる

障害も増えています。


キズパワーパッドはハイドロコロイドという素材なのですが、確かに

これは湿潤療法を行う上で、なくてはならない被覆材料です。ただ

このハイドロコロイド、密封性は高い反面吸収性が貧弱なのが大きな

弱点です。そもそもキズからの浸出液には創治癒に必要な成分が

含まれているので、密封して浸出液を逃がさないようにすれば、

早く、痛くなく、きれいに治ると言うのがこの素材を治療に使う

理屈です。


なので、逆に浸出液が多くてジュクジュクしているキズに貼ると

容易に過湿潤状態を招き、皮膚のかぶれ、かゆみ、さらには感染の

原因になります。感染してしまうとキズ周辺が赤く腫れて痛みも出ます。

ひどいと膿が出たり、とびひにもなり得ます。こうなると抗生剤や

抗炎症剤が必要です。まだ湿潤療法が今ほど市民権を得ていない時は、

だから湿潤療法は危険だと攻撃されたもんですよ。このジュクジュク

状態になる代表がヤケドです。ヤケドにハイドロコロイドが向かない

のがお分かり頂けるでしょう。


テレビCMでも「乾燥したあかぎれ」に使用しているところがミソ

ですね。では乾燥したキズならとても良いかというと、実はここも

一工夫必要。ハイドロコロイドのもう一つ大きな弱点が接着性が強い、

ということです。まぁだから剥がれにくいんですが。乾燥したあかぎれ

に貼ると確かに軽度のものはきれいに治りますが、結構深くて大きい

と、ハイドロコロイドを剥がす時にまた割れます。これガーゼ並みに

拷問です。(*o*)なので、乾燥したキズに使う場合でも、キズの上に

ちょん、とワセリンを乗っけておいてから貼ると剥がす時に痛く

ありません。


このハイドロコロイドの弱点を少し改善したのが瑞光メディカルの

「ハイドロコロイド包帯」です。決してヤケドに使えるようになった

訳ではありませんが、吸収性を上げ、粘着性を下げているためトラブル

が少なくなります。またキズパワーパッドより安価なので、常備品と

しても優秀です。ウチでもお分けしていますが、ネットでも購入可能

ですので、これからの季節外出も増えるでしょうから持っておいて

損はないでしょう。

2015年4月30日 木曜日

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「証」とはなんぞ?

「方証相対」、「随証治療」、「虚証」に「葛根湯証」など

漢方の教科書を開くとかなりの頻度で「証」という漢字に

出くわします。しかも「証」が大事なんだぞ!と力説していたり

します。「証」ってなんでしょう?(いや、不可抗力ですよ)


まあ一般の方がここで悩むことはまず無いでしょうけど、

我々医療関係者は結構ここでつまずきます。学生時代に

漢方の講義がないので(現在は若干あるそうです)、就職

してから独学で学ぶ人が殆どなんですが、どの教科書も

「証」を重要視しており、先に挙げたような熟語のオンパレード

なので、せっかくやる気があってもそっと教科書を閉じて

本棚の飾りになることもしばしば。(^ ^;)これはとても

もったいないです。ズバリ!「証」とは「状態」のことです。


「方証相対」とは「方」が薬のことなので、「状態」と「薬」

が対応しているよ、という意味ですし、「随証治療」とは

「状態」に沿って治療をします、という意味です。「虚証」は

「虚」の状態、というだけのことだし、「葛根湯証」というのは

「葛根湯が効く状態」ということなんですね。いやーカンタン

でしょ?


西洋医学は例えば「アトピー性皮膚炎」とか「腰部脊柱管狭窄症」

などの「病名」で薬を決めたりするので、この「状態」で処方を

決めることに慣れていないだけのことです。翻って漢方医学は

常に「状態」ありきです。「アトピー性皮膚炎」でもジュクジュク

なのか、乾いているのか、赤いのか紫なのか…などなど。

そう考えると「方証相対」や「随証治療」が当たり前の言葉に

見えてくるから不思議です。


ドラッグストアや通販でも漢方薬が入手できる時代になり、

利便性は増しましたが、ラベルには「花粉症に」とか「肥満に」

って書いてありますよね。これは「証」を無視しているわけで、

当然効果にバラツキが出てくるわけです。「○○状態にこの漢方!」

なんて発売されたら新しいですね。(^ ^)

2015年4月27日 月曜日

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腹の中は身体の外

最近参加したセミナーでの印象的な一言です。これは、

食べたものは吸収されて初めて栄養となるのであって、

食べただけで安心してはいけないよ、ということです。

とても重要なことです。分子栄養学では血液検査から

栄養の過不足を推理する手法を用いますが、どうしても

ビタミンやミネラルの不足にばかり目が行き、それを

補うことに拘泥してしまう傾向があります。


もちろんそれが功を奏して、とても良くなることも多々

あるのですが、一向に改善しない場合もあります。そんな

時は、足した物が吸収されていないと考えるべきで、

まさに足してもまだ「身体の外」にある状態なんですね。


そうなると栄養の不足はさておき、まずは上手に吸収

されるようにアプローチを変えねばなりません。吸収の

妨げになる要因としては、消化酵素が出ていない、吸収の

現場である腸管壁に問題がある、などです。これらは

血液検査ではなかなか判断できないので、患者さんの

自覚症状を頼りに try and error を繰り返しながら適切な

提案に練り上げていく過程が必要です。


それでも、全ての人に共通してやるべきことがあります。

それは過食と早食いをしないこと。腸は皮膚の延長で

重要な外敵からのバリアでありながら必要な物は通すと

いう、いわば税関のようなもの。もの凄い仕事量なんです。

これを疲れさせてしまっては本来の仕事がままならなくなる

のは自明ですね。過食や早食いは腸にもの凄い負担を強い

ます。腸の健康は全ての基本で、乳酸菌やビフィズス菌も

大切ですが、さらに前提として疲れさせないことがとても

重要です。


この発想は食事のみならず、当然薬にも当てはまることで、

不要な薬剤は害にしかなりません。食事はゆっくり、薬は

最小限、を合い言葉にしましょう!

2015年4月23日 木曜日

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脂肪肝あなどるなかれ

健康診断などで、「軽い脂肪肝がありますね。」なんて言われた

ことのある方、結構いるのではないでしょうか。

「脂肪肝って要はフォアグラでしょ?」

「美食家の象徴だね!」

「この歳になれば皆多少はあるよね。」

「先生も特に処置はないって言うし。」

「健診も終わったことだし飲みに行きますか!」(笑)


かように、結構日常会話にも登場する疾患名なのですが、その

メカニズムはあまり正しく認識されていないようです。しかも

脂肪肝は “負のスパイラル” の始まりでもあるのです。


脂肪肝は肝臓に脂肪が蓄積する現象ですが、この原因は決して

脂肪の摂りすぎなのではなく、糖質過剰の結果です。糖質を摂取

すれば誰でも血糖値が上昇しますが、この上昇に反応してインスリン

が分泌されます。インスリンは血糖値を下げてくれる頼もしいヤツ、

と思われがちですが、その仕組みは糖を脂肪に変換する結果です。

ですから糖質過剰はインスリン過剰を招き脂肪合成が促進するわけ

ですね。これが脂肪肝のメカニズムです。特に我々日本人は精製

された炭水化物を好んで摂取するので、この現象が起こりやすいと

思われます。


とすると、脂肪肝は決してアラフォーの肥満気味のオッサン

(え?呼んだ?)の病気ではなく、糖質過剰になっていれば年齢や

性別は無関係に発症すると言えます。そして脂肪肝の真の恐ろしさは、

この先にあります。


糖質は摂取した量のおよそ半分をまず肝臓に備蓄します。残りの

半分が血糖となるわけですが、血糖はだいたい2時間で消費されて

しまいます。そこで肝臓の備蓄を切り崩しながら血糖値を維持する

のです。脂肪肝になっていると、この備蓄能力が低下します。つまり

摂取した糖質は肝臓に貯められないまま血中に移動するので、食後に

高血糖を招きます。これは大量のインスリン分泌を誘導します。

そして肝臓の備蓄がないためにすぐに低血糖になってしまい、短時間で

空腹感を覚え、糖質を摂取、血糖急上昇、インスリン大量分泌、

脂肪肝促進、さらに低血糖に……


こうなると1日の中で頻繁に低血糖が起きますので、食後は眠いし

だるい。この習慣が20年も続けばほぼ間違いなく糖尿病になります。

さらに低血糖時はコルチゾールというホルモンも消費されますので、

アレルギーや疲れが悪化します。ああ、考えただけで恐ろし…くない

ですか?(*o*)「軽い脂肪肝だから大丈夫。」という言葉は

「負のスパイラルの始まりでっせ。」と脳内変換して食習慣を変えて

くださいね。

2015年4月20日 月曜日

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「バードマン」

一般的にアカデミー賞受賞作というと、文学的であったり、

壮大な物語であったっり、視覚効果がとんでもなかったり、

と聞く人が納得する理由があるものです。つまり超ド級B級

アクションとか、超クールな低予算ホラーコメディ(笑)

なんていう外角低めな作品はまず選ばれないわけですよ。

本作は堂々たるアカデミー賞受賞作ですが、はっきり言って

後者に分類される異色作です。

 

あまり前情報を入れずに観に行きましたが、そんな仕様なので

僕的にはもの凄い好物でしてとても満足しました。間違っても

「タイタニック」や「アバター」的な作品をイメージして劇場に

行ってはなりませんよ。(^ ^;)ストーリーは至ってシンプルで、

若い頃「バードマン」というヒーローもので名を馳せた俳優が、

再起をかけて舞台の芝居に挑む、というだけです。そこにプライドや、

家族や、さらに演じることの本質などなどが絡むわけですが、

幹となる命題は「何を望むか?」です。

 

こう書くと、なんかどこにでもありそうな映画ですが、言葉で

説明するのが実に難しい作品です。ネタバレになるから、と

いうのもありますが、それは見方によって解釈が変わってしまう

からです。ある人にはすっきりした爽やか成功ストーリーに

見えるかも知れないし、ある人にはとても切ない孤独な話に、

ある人にはブラックコメディに写るでしょう。これこそが

監督の狙いなのかも知れません。最近の映画はあまりにも

「望まれるもの」ばかり作っていないかい?観客もそれに慣ら

されていないかい?と問いかけられているようです。

 

さらに特筆すべきは全編切れ目がないように見える撮影方法です。

いわゆる長回しというやつですが、実際には超絶技巧の編集テク

の賜物だそうです。それでも実際にワンシーンずつは長いそうです。

これによりまさにお芝居を観ているかのようなリアリティを

感じられます。調べてみたら「ゼロ・グラビティ」でも長回し

撮影をやった人でした。これを体感するだけでも価値があります。

BGMもほぼジャズドラムのみという恐るべき仕様。しかしこれも

またとても素敵な効果をもたらしています。それはエンドロールに

まで及ぶという手の込みよう。ここもまた解釈が分かれるところ

です。

 

俳優陣は主演にマイケル・キートン、周囲をエドワード・ノートン、

エマ・ストーンが固めます。みんな過去にヒーローものに出演して

忘れられているという皮肉の効いた配役。(^ ^;)けれども

その演技はとても素晴らしい。作中の台詞も量産される「大作」

映画への皮肉も盛りだくさんで映画好きはクスッとすること

請け合い。撮影方法から、脚本、構成、音楽まで想像以上に練り

込まれた作品です。記録にも記憶にも残る名作です。

2015年4月16日 木曜日

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