耳とくれば歯!ということで(そんなこたぁない)、歯痛に
対する漢方薬について考えてみましょう。
口内炎や顎関節症の痛みに対する漢方薬は数あれど、純粋に
歯の痛みとなると意外と難しいものです。保険適応されている
ものでは立効散(リッコウサン)が有名ではありますが、生薬構成
を見ると、生薬数が少ないので速効性は期待できるものの
温める作用のある細辛(サイシン)が配合されているので、効く
場面が限定されそうです。
我慢できない歯痛の場合、微小なものを含め化膿による炎症
に起因しているものが多いので、どちらかと言うと“冷やす”
効能を持つ生薬が配合されているものを選ぶのが良さそうです。
そうすると、石膏、黄連、黄芩、柴胡、葛根あたりの生薬が
配合されている漢方薬が優先的に考慮されます。強烈に痛む
患者さんが目の前に居たら、僕なら黄連解毒湯をベースに
桔梗石膏か越婢加朮湯を処方しますかねぇ。もちろん他の
漢方的所見を勘案するのも重要です。
歯科医にも漢方薬を処方する権限はあるのですが、保険適応
となる処方が極端に少ないのが現状です。立効散なんてそんなに
ムニョムニョ…
今回は漢方薬で、というのが前提でしたがもちろん、西洋薬
が優先でしょう。鎮痛剤+抗生剤がオーソドックスな処方
だと思います。西洋薬が何らかの事情で飲めないとか、既に
飲んでいる方にとっては漢方薬は充分アリ!です。