院長室

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お酒との付き合い方

今日からウチはお盆休みですが、皆さんの中には既に

連休だぜ!って方もいるようですね。連休になって旅行

に行ったり、お盆で親族が集まったりすれば自然と宴会

という流れになったりもするはず。百薬の長と言われる

お酒ももちろん調節が大事なのは周知の事実。さて、

どう付き合いましょう?


糖質制限本なんかには、糖質オフのお酒ならどれだけ

飲んでもOKなんて書いてあったりしますが、これを

鵜呑みにしてはいけません。糖質摂取という角度から

見れば、日本酒やビールなどの醸造酒よりも焼酎や

ウィスキーなどの蒸留酒の方が安全なのは確かですが、

アルコールのデメリットを度外視しているからです。


アルコールは化学物質ですから、肝臓で分解が必要です。

だから飲酒過多では肝臓が「やられる」ワケですが、

と言うことはアルコール分解中は肝臓のその他の機能は

落ちることになります。肝臓の機能は多岐にわたりますが、

中でも重要なのが糖新生です。ヒトは低血糖だと死んで

しまいますから、アミノ酸から糖を合成して血糖が一定

以下にならないようにする仕組みです。


蒸留酒であっても過飲すれば糖新生が疎かになり、低血糖

が起きやすくなります。糖質制限して見事に痩せたけど、

酒を飲むと記憶をなくしたように眠ってしまう、やたら

怒りっぽくなる、なんて経験、あるいは同僚いませんか?

これらは恐らく低血糖が起きている証拠です。


糖質制限があたかもダイエット法みたいに扱われていますが、

その本質を見逃すとこういう副作用もありますので、飲酒は

くれぐれもほどほどに。ちなみに、体に良いと言われる

アルコールの量はせいぜい20g程度だそうです。これは

ビール大瓶1本、ウィスキーダブル1杯くらいです。

それくらいで満足できる?(^皿^)

2015年8月13日 木曜日

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血流とは

「肩こりは血流が悪いからよ。」「年とると血流悪く

なるでねぇ。」などなど、「血流」という単語は我々の

日常に溶け込んでいます。でもじゃあ血流を良くする

にはどうすんの?と言われると途端に諸説入り乱れる

結果になります。マッサージ?血液サラサラ薬?

タマネギ?(笑)


これは正確に「血流」が理解されていないせいかも知れ

ません。「血流」の理屈がしっかりすれば少なくとも

大きな間違いはしないでしょう。血流を理解するには

線路と電車に置き換えると分かりやすいです。線路が

血管で電車が血液、乗客が酸素や栄養素です。線路が

途絶えても、電車が遅延しても乗客は目的地に行けま

せんよね。


先日、皇后さまが「心筋虚血」で精密検査、なんて

ニュースがありましたが、これは心臓を栄養する血管が

細くなって心臓に血液が届きづらい状態のことなので、

線路の問題です。逆に鉄不足で貧血状態になっている

のは酸素を運べない状態ですから電車の問題です。タバコ

もヘモグロビンの機能低下を招きますから電車の問題です。


ということで、「血流が悪い。」と言ってもまずは線路の

トラブルなのか、電車のトラブルなのか、はたまた両方

なのかを見極める必要があります。そして何が原因でその

トラブルが起きているかが分かれば、的を射た治療が

できる道理です。


僕もよく「血流を良くする漢方薬です。」なんて説明します

けど、厳密には血球成分のうっ滞を改善するツールなので

これは電車の治療です。線路のトラブルにはあまり効果が

期待できないので、線路の治療になり得るストレッチも

併せてやってもらったりするのです。鉄不足で電車に問題

がある場合には、せっせと運動したって血流は良くならない

というのも分かりますよね。

2015年8月10日 月曜日

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タイムリーな漢方薬

安打数はあってもタイムリーが出ないのが我が

ドラゴンズの今年の傾向ですが、漢方薬治療では

常に適時打を打ちたいところです。おっ、我ながら

ウマイ。(^ ^)


さてこの時期タイムリーな疾患と言えば熱中症です。

年々暑くなるせいか、熱中症搬送数も上昇の一途

です。猛暑の甲子園、大丈夫かね?中京大中京は

勝ったようですが。


もちろん熱中症の予防・治療には水分とミネラル補給

が第一なのは言うまでもありません。その補助として、

有用な漢方薬もあるよ、くらいのレベルですが確かに

飲んでおいた方が良い場合があります。


では熱中症はどんな病態でしょうか?暑さでボーッと

して、めまいや頭痛、嘔気が出ます。口が渇いて動悸が

出たりもします。食欲が落ちて下痢をする人もいますね。

これらの症状に合致した生薬を含む方剤が適当、となる

わけですが具体的に有用なのは


・石膏、知母…冷やしながら潤します

・人参、黄耆…食欲増進して元気にします

・黄芩、黄連…強力に冷やします

・茯苓、蒼朮…めまいや下痢を抑えます


この辺り。こういった生薬を含む薬の中から患者さんの

症状に合わせてよりマッチしているものを処方している

のです。夏バテに有名な清暑益気湯という薬は上記生薬

をまんべんなく含むので、広く使用されるんですねぇ。


よく漢方薬は患者さんに合わせたオーダーメイド治療だ、

なんて言われますが、保険エキス剤を使う以上、このように

ベターなものを選んでいるだけなので、むしろレディメイド

だと言えますよね。

2015年8月6日 木曜日

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9月の診療日程更新

毎日酷暑が続いています。プレミアム商品券を買う

ために並んで熱中症で搬送って、プレミアム級な損失

ですよね。(^ ^;)この時期はイベントも多いでしょう

から、長時間屋外にいる時は十分お気をつけくださいね。


9月はシルバーウィークの休診があります。そういや

高齢者をシルバーなんて言いますが、これって和製

英語なんですってね。白髪からきているとか。対して

英語圏で高齢者は「gray(グレー)」。これも色から

来ているそうですが、でもグレイって宇宙人を連想

しちゃいますよね。(笑)


ちなみに会津の白虎隊は15歳から17歳の男子で

構成された隊のことで、50歳以上の隊は玄武隊と

言われたそうです。これだと高齢の色は黒になりますな。

シルバー+黒=ガンメタル!おお、カッコええ。

めっちゃどうでもいいですね。

2015年8月4日 火曜日

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癌と闘う⑤

癌細胞に成長のルールがあるのならば、そこを逆手に

取るのが戦略の基本となります。まず糖を大量に必要と

するのであるから、当然糖質制限は必須です。しかし

癌細胞はそれに対抗して我々の筋肉を分解して糖に

変換することができるので、糖質制限だけだと筋肉が

痩せていってしまいます。


となるとタンパク補給も必須なのですが、カロリー不足

状態ではタンパク質はカロリーに変換されてしまいます

から、タンパク質本来の役目を果たせず、結局癌細胞に

対抗できません。ここが生活習慣病と少し違う所です。

生活習慣病ではどんどんタンパク質を壊す存在はいない

もんね。


となると糖質制限と並行してカロリー変換を効率化する

栄養素が武器になります。具体的にはビタミンB群と

マグネシウムです。またココナッツオイルは代謝の手間

が少なくカロリーになるし、血糖にもならないので、

とても有用です。これらでカロリー変換を維持できれば

タンパク質が活きてきます。たとえ癌細胞があっても

筋肉痩せや貧血が出づらくなります。


癌細胞そのものへの攻撃手段はどうでしょうか。これも

超甘党なのが利用できます。ビタミンCは糖と似た構造

なので、癌細胞はビタミンCを取り込みやすい性質があり

ます。ビタミンCは高濃度では癌細胞を縮小させる活性

酸素を出すので、ビタミンC大量投与が治療となり得る

のです。しかし、血中で高濃度を維持するには経口では

不可能なので点滴で行う必要があります。


あとはビタミンDが抗癌作用を有することが分かってい

ます。血中濃度が低い方は是非とも摂取すべき栄養素です。

また癌細胞は炎症も引き起こします。炎症があると栄養素

の吸収が妨げられるので、そのコントロールも必要です。

ビタミンDも抗炎症作用がありますが、EPAを追加する

とさらに良いですね。ココナッツオイルも抗炎症作用を

有するみたいですので、一石二鳥な存在で頼もしいです。


病態によって食事量にも差があるので、どのくらいこれら

の栄養素を使用するかは個人差があります。ただ少なくとも

栄養素が闘う武器になる、と言うことを知るのと知らない

のとでは患者さんの生活の質が雲泥の差になることは間違い

ないと思います。

2015年8月3日 月曜日

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