いまだ収まらぬ「君の名は。」ムーブメント。確かに僕も
絶賛したけど、周囲が盛り上がると冷めたりする天の邪鬼
なヤツです。「シン・ゴジラ」も観てね。
さてさて、「聲の形」も日本のアニメで、ほんわりした
ビジュアルとは裏腹に胸を強烈にえぐる傑作、いや、問題作です。
主人公は小学生の頃に聾唖の転校生に悪質なイジメをします。
でもその後今度は自分がイジメの対象となり、孤立したまま
高校生に。因果応報の諦観を持ちつつも拭えぬ罪悪感からある
行動に出るのですが…、というお話。原作コミックは未読ですが、
極めて情報量の多い、それでいてまとまりの良い脚本が秀逸です。
イジメは社会問題にもなっていますが、その本質が差別や格差
なのであれば、子供社会に限ったことではありませんし、
また恐らく消えることのない人間の性でもあると思います。
だからこそ、観客全員がハッとし目を背けられなくなる。僕も
心が痛かった。本作が素晴らしいのは、聾唖の少女を憐憫の
対象とせず、登場人物の心像を平等に描いているところでしょう。
「君の名は。」のような圧倒的な迫力はありませんが、繊細で
全員に響く素敵な作品です。でも上記を踏まえて観ないとヤケド
するぜ!
そしてジブリがちょっと絡んでることでこれまたちょっと話題に
なったフランス発のアニメ「レッド・タートル」。なんと無声
映画です。海で難破して無人島に流れ着いた青年と不思議な
赤いウミガメとの関わりを描くのですが、非常に抽象的で、まあ
フランスはそんなん多いけど(^ ^;)、答え丸投げ的な作品です。
その時点で苦手な方もいると思いますが、日本アニメの当たり年
の影で意外と存在感を放つ異作です。
解釈の仕方は様々ですが、だからこそ楽しみ方も色々あると理解
すれば一見の価値アリです。ちなみにジブリ臭ははぼありません
ので(笑)、それは期待せぬよう。でも自然の描き方やデフォルメ
された蟹さんはやはりジブリの影響か?そんなことを考えるのも
既に監督さんの手のひらの上なのかもね。
しかし今年は邦画の勢いが凄い。近年稀に見る豊作ですね。10月
も話題の邦画が目白押しなのでまだまだ収穫がありそうです。