医院と統合して、高齢の方を診る機会が増えていますが、ご多分に漏れず
多くの薬剤を飲まれている方が大勢います。そしてどれも必要な薬かと言うと
意外とそうでもなかったり…(^ ^;)
日本の医療の一つの特徴かも知れませんが、高齢者が多くまた高齢者ほど
医療費負担が少ないので患者側も医療側もついつい多剤使用してしまう傾向が
あるようです。中には「無いと不安だから飲んでる。」なんて場合もあります。
我々もそう言われると「まあ害のない薬だから」と判断して処方してしまったり。
ただ、薬剤はどんなものであれ無害と言うことはありません。全てが消化・
吸収・運搬・排泄というプロセスが必要であり、これは人体にとって負担
だからです。以前服用して何ともなかった薬でアレルギーが出たり、下痢を
したりなんて経験をお持ちの方もいるのではないでしょうか?漢方薬だって
例外ではありません。それどころか、漢方薬には複数の生薬がセットされて
いますから、1剤でも多数の成分が体内に入るわけで、リスクがないはず
ありませんね。
もともと吸収障害があれば体内に入りづらいので、大きなトラブルにはなら
ないですが、大事なのは運搬です。薬剤の成分は単独で体内を動くわけではなく、
タンパク質と合体して体内を移動します。ですから、タンパク不足の方は薬の
効きが悪くなります。さらにタンパク質と合体することで、有害作用を無毒化
するという意味もありますので、副作用が出やすくなります。
高齢になればなるほど誰しもタンパク質は不足していきますので、実は高齢者
ほど多剤併用はしない方がいいということになります。本当に必要な薬だけを
選んで使用するようなれば副作用も出にくくなり、また医療費削減にもなるん
ですけどねぇ。僕は密かにいつも減薬作戦を練っています。(笑)