皮膚科の患者さんを診るようになって、この時期はやはり白癬症(水虫のこと)が多いと
改めて感じていますが、一般的には何らかの抗真菌剤を使用します。市販でも数々の
薬が発売されていますね。
ひどい白癬症ですと、水疱が破れてジュクジュク状態になっているのですが、これは
要はキズです。ですから湿潤療法の理論がそのまま当てはまるのですね。ジュクジュク
の場所に抗真菌剤を塗るのはナンセンスで、まずはキズの治療を優先させるべきです。
具体的にはプラスモイストなどの被覆材で覆うだけですが、これでキズが治ってから
抗真菌剤にシフトするのがいいと思います。
また乾燥して皮がめくれてかゆいタイプの白癬症もありますね。これも乾燥が悪化の一因
なので、またしても湿潤療法の理論が適応されます。キズや潰瘍の治療には界面活性剤
の入ったクリーム剤はNGですから、カサカサタイプの白癬症には軟膏ベースの抗真菌剤
が使われるべきです。ですが、軟膏ベースの抗真菌外用剤はなんと一つしかないんです。
その他は全てクリームベースなんですね。こんな所でも、いかに創傷治癒機転が正しく
理解されていないかが垣間見られます。
湿潤療法で水虫が治る、なんて言うのは大変な誤解ですが、やはりまずは創面を治りやすい
環境に変えてあげることが大事なんだと思います。その環境を整えるためには湿潤療法の
知識はとても有用で、実際に治りがよいと感じています。
あとは水虫菌に対する策として、毎日同じ靴を履かないことが挙げられるでしょう。外勤
が多い方は、同じような靴を3足くらい用意してローテーションして使用すると予防に
なると思います。全く同じ靴だと見分けが付かなくなるので用心を。(笑)